【男主】人生記【eoh.eoh】

95枚目 ページ2

葉もあれば水もある。
野鳥もいれば虫もいる。

山、すばらしい。

飽きることなくカメラを構える俺たち。
後から登って来た人にどんどん抜かされている。

まあ、競争ではないし。

「………」

そして後ろから刺さるような視線。
もちろんAなのだが見すぎだろう。

そんなに見て何が面白いんだというほど俺たちを見ている。
いや、二人があっちこっちパシャパシャしてるのは面白いだろうが。

「Aも撮れば？」

「俺はいいよ、見てるだけで十分」

日陰でしゃがみこんで見ている彼。
それを見て動物園の時を思い出す。

「あろま」

手招きすると少々不機嫌な様子で近づいてくる。

「A撮ろう」

「は？」

スマホに残っている動物園の時の写真を見せるとあろまはのってきた。

どっちがよい写真を撮れるか対決らしい。
判定する人もいないのにな。

「A」

「ん？」

「ちょっとそこに立って、景色見てるだけでいいから」

「あ、ここ邪魔でした？ごめんなさい」

プロ級の誤解をしているようだが、折角なので俺がそちらにカメラを構える。

撮ってはないけど撮ってるふり。
その隙、と言ってはおかしいがあろまは写真を撮ったようだ。

なかなかのポイントを取られ、どこに立ってもらおうか悩む。

「じゃあ、Aそこしゃがんで」

「……俺を撮る気だな？」

何故ばれる。
あろまのときはプロ級の誤解をしてくれたのに。

お前らグルか？
そういう計画をたてていたのか？

「まあ、いいけど」

いいのかよ。

「で、空見てみ」

「空？上ってこと？」

一瞬でシャッターをきると今目の前にしている画がカメラに写し出された。

「おお、飛行機雲」

「えおえおずりぃー！」

「ずるくないだろ、タイミング」

結局あろまもその画を撮って登山は再開となる。

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