ウツボちゃんの毒 〜5〜 ページ5
「すげぇな…。噛まれるの、怖くないの?」
「怖いよりも、早くフロイド先輩に会いたくて、ウツボちゃんに早く噛まれたかった気持ちが強かったから…」
「あははっ。小エビちゃん面白いねぇ〜。でもぉ、そんなにオレの事を思っててくれたのは、ちょー嬉しいよ」
「はい。それで、結局ウツボちゃんに無理やり噛ませた時はダメだったけど、昨日、やっと普通に突然噛みついてくれて…。夜楽しみに眠ったら、やっぱりこっちの世界に来れました」
「じゃぁ、ウツボちゃんから噛みついてくれた時のこの傷に毒があるってこと?」
「さっきの闇の鏡の言葉からすると、そんな感じでしたよね?」
「ふーん。…ウツボちゃんの毒…ねぇ…」
フロイドが傷をじっと見つめた。
「3日で消える…かもしれないんだよね…。今は傷もかなり深いから良いけど、この前も、傷が消えてきた時に小エビもいなくなったでしょ?」
「元の世界に戻ったら、傷が消えてました…」
「間違いないねぇ。傷が消えたら…アウト…」
Aがフロイドにギュッとしがみついた。
フロイドがしっかり受け止める。
「大丈夫。絶対に、この傷が消える前に毒を見つけるから…」
「もう…、次はこの世界に来れなくなるんですよね…」
「闇の鏡の言う事が本当ならね…」
「それが…、一番怖いです…」
フロイドの胸に顔を埋めてくるAの頭をフロイドが抱きしめながら撫でる。
「あのさ…。試したい事があるんだけど…」
「何ですか?」
「オレにもさ…、毒、あるかもよ…。ウツボだし、小エビちゃんはオレに会うためにこの世界に来たんだし」
「フロイド先輩に、もし毒があるなら、その毒がウツボちゃんの毒を消させない毒…?」
「うん。なんかすげぇややこしいけどさ、手掛かりがねぇんだから、出来ることは試して行かないと」
「そうですよね。それで、フロイド先輩の毒を試すのは、やっぱり私に噛みつくんですか?」
「キスしたのに元の世界に戻っちゃったんだから、噛みついてみる」
「はい。お願いしますっ」
「……小エビちゃん、怖くないの?オレに噛みつかれるんだよ?」
「何で怖いんですか?嬉しいじゃないですか」
Aが顔を上げてフロイドを見た。
その顔は、当たり前だと言いたげな表情をしている。
「小エビちゃんの身体を、オレが傷つけちゃうんだよ?」
「はい。なんか特別感があって、ニヤけちゃいそう…」
「もうニヤけてんじゃん…」
「時間が無いし、早く試してみましょうよ!」
5人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:魅樹 | 作成日時:2023年4月23日 16時