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初めてのデート 〜1〜 ページ40

寝息をたてるフロイドをそのままにして、Aも目を閉じた。

「おやすみなさい…」







翌朝。

フロイドは昨日スマホのアラームを設定していなかった。

「フロイド先輩っ!起きてくださいっ!」

Aがフロイドを揺さぶり起こす。

「んー…」

フロイドがガッチリとAをホールドした。

「うわっ…」

「おはよ…、A…」

目を閉じたまま笑顔でフロイドがAのおでこにキスをする。

「おはよう…ございます…」

「今からいい匂いタイムね…」

「30分?」

「うん」

フロイドがAの首に頭を埋めてゆっくり深呼吸する。

「名前で…、呼んでくれるんですか?」

「うん。小エビちゃんも、呼ぶよ…」

「そうですか…」

「どっちも…、オレのお気に入りの名前だから…」

「はい…。じゃなくてっ!あの、今、何時か知ってますかっ?」

「知らなーい…」

「もう8時ですよっ」

「ふーん…」

「焦らないんですか?」

「なんでぇ?」

「だって…、今日、デートしてくれるんでしょ?」

「うん。でもダメ。今はいい匂いタイムだから」

「いい匂いタイム終わったら、8時半ですよ?」

「街の店だって、そんなに早く開かねぇよ…」

「…もう…」

「怒ったの?」

フロイドは相変わらずAの首に頭を埋めたままだ。

「怒ってませんけど…」

「いい匂いタイム、しなくちゃ絶対ダメだからね〜…」

「女の子は、色々と準備に時間がかかるんですよ?」

「でもダメ〜。いい匂いタイムは絶対〜っ」

「しょうがないですねぇ…」

Aはまたフロイドの頭をポンポンと撫で始めた。

「小エビちゃん。オレの腕、触っていーよ」

フロイドに言われて空いている手でフロイドの腕を触った。

「ガッチリ…」

「好きなんでしょ?オレの腕の筋肉」

「はい…。好きですっ」

「………」

「フロイド先輩?」

「………」

「寝ちゃった?」

「起きてるよ…」

フロイドは考えてしまった。
もしかしたら、スーザンのように、この腕が代償になるかもしれない。
そうしたら、Aをちゃんと抱きしめる事が出来ない。
ジェイドの言った通り、パルクールやバスケットも健常者と一緒には出来ない。
あらゆる所で健常者として認めてもらえなくなる。

「昨日みたいに寝ちゃったのかと思いましたよ…」

「うん。オレ、いつの間にか寝ちゃったね」

「いつの間にかじゃなくて、即寝でしたよ」

「そうなの?」

「ビックリするくらい早かったですよ」

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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年4月23日 16時

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