あの人物 〜3〜 ページ34
すると、見る見るうちにクリスの肌がキラキラと美しい輝きを放ち始めた。
「どう?綺麗になった?」
「吸収…?」
「キミ、頭も良いんだね。正解!ボクは綺麗なモノを体内に吸収して、どんどん美しくなるの。それが趣味なんだー」
「それと…、契約の…代償…、関係あるのか…?」
「全然ないよー。契約の代償はただの形だけ。別に綺麗じゃない身体なんて興味ないし」
「…最低だなっ…」
「でも、キミの身体にはすっごい興味あるよ」
「気持ちわりぃんだよっ…」
「それに、この子。Aも綺麗…」
「触るんじゃ…ねぇぞっ…」
「人魚のくせにまだ威勢が良いんだねー。もう死にそうじゃん」
「死なねぇよっ…」
「でも、キミが今死んじゃったら困るからなぁ…。変身薬は?」
「ここには…持って来てねぇよ…」
「ふぅん…」
すると、またフロイドが人間の姿になった。
しかし人魚の乾燥ダメージで、人間になっても酷い苦しさが残ったままだった。
フロイドは床に座った。
「さっき鱗もらって綺麗になったから、お礼にAの毒を長持ちさせてあげるよ」
「そんな事出来んのかよっ」
「少しならね。完璧な毒じゃないと、この世界には留まれないけど、キミがAに与えた毒を長持ちさせることくらいなら出来るよ。一時的だけどね」
「どれくらい持つ?」
「そうだなぁ。3ヶ月は?」
「もっと長く出来ないのかよ…」
「ワガママだなぁ。じゃぁ、1ヶ月追加で4ヶ月ね」
「…分かった…」
「これでボクを信じられると思うよ」
「別に信じてない訳じゃねぇよ…」
「そ。契約も、ちゃんと交わしに来てあげるからさ。安心しなよ」
クリスはAの方へ向く。
「毒を長持ちさせるのに、少しだけAに触るからね」
「ああ…」
クリスがまたAの額に人差し指を当てた。
「はいっ。これで4ヶ月は大丈夫だよー」
「本当だな?」
「信じてない訳じゃないって、言ってたじゃーん…。4ヶ月後、傷が薄くなったら、またキミの毒を与えてね。契約はまだ先にするからさ」
「次の毒はどのくらい持つんだよ…」
「それは分からないねー。個人差あるからー」
「………」
ムッとしたフロイドを見て、クリスがニッコリした。
「そんなにAに消えて欲しくないの?」
「テメェに何が分かるんだよっ…」
「クリスだってばぁー。まあ、人間の恋ってモノがどんなモノなのかは興味無いけど、必死になってる人間を見てるのは面白いよ」
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年4月23日 16時