ウツボちゃんの毒 〜3〜 ページ3
アズールが難しい顔をする。
「あなたには、どうすることも出来ませんか?」
Aが闇の鏡に聞いた。
『出来ない』
「そうですか…」
Aは手を見た。
それにフロイドも気づく。
「小エビちゃん。その傷」
「はい。また、ウツボちゃんに噛まれて来ました」
「本当だったんだね…」
「たぶん…」
『汝。この世界に留まりたいのであれば、毒をもち続けよ。毒をもって毒を制する事が出来れば、その毒は消えずに済むだろう』
「その毒って…」
『分からない』
「やっぱり…」
「毒をもって毒を制すって、他の毒で毒を消すことだろ?」
「毒を消させない毒…。と言う意味では…?」
「さすがはアズール君。恐らくそう言う意味で闇の鏡は予言しているのでしょう」
学園長がアズールに感心した。
「毒探しから始めないとじゃん…」
フロイドが肩を落とす。
「せっかく小エビちゃんが戻って来てくれたのに…」
「フロイド、やるしかありません。時間もそんなに無いのでしょう?」
「また…、3日で…?消えちゃう…?」
Aが不安そうにフロイドを見る。
「オレが消させない」
フロイドがAを強く抱きしめた。
「イチャイチャはオンボロ寮でしてください。フロイド、僕も調べてみますから、とにかくお前も出来るだけ色々な事を試してみなさい」
「言われなくてもやるっつーの…」
「闇の鏡に聞きたい事がなければ、そろそろ戻りましょう。昼休みも、終わってしまいます」
「はい」
こうしてAが学園に戻ってきた。
放課後。
午後の授業から、Aも出席した。
エペルもとても喜んだ。
しかし、喜んでばかりいられない。
時間もなければ、何の毒が有効なのかが全く分からない。
放課後。
フロイドとAはオンボロ寮に戻った。
「小エビちゃんさぁ。このウツボのぬいぐるみ無くて寝れたの?」
「とりあえず、枕元のぬいぐるみで代用してました…」
「そっか。ウツボちゃん、元気だった?」
「それが、私の世界の時間、進んでなかったんですよ…」
「えっ?そうなの?」
「何でだろう…。フロイド先輩っ!私がいなくなって、どれくらい経ってますかっ?」
「一ヶ月一週間だよ…」
「あれ…?同じだ…。ここに戻るまでは一ヶ月と一週間…。同じ時間が過ぎてる…」
フロイドがAをまた抱きしめた。
「今はさ…、とにかく、小エビちゃんのいい匂い、いっぱい嗅ぎたい…」
「はい…」
「オレ、毒見つけるからね…」
「お願いします…」
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年4月23日 16時