FULLMOON ページ2
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始まってしまえば、あっという間で。
何事もなく終えた初日のステージ。
ウサさんやマキさんたちも来ていて、終演後は穏やかに過ごせていた。
KC「…無理せず、リラックスして歌っておいで？」
『…うん。』
KC「ちゃんと見てるから。」
今日は、ケンチさんも見に来てくれていた。
ケンチさんがギリギリまでそばにいてくれて。
茶化すように直人さんとタカヒロくんが引き継いでそばにいてくれた。
いよいよ出番を迎える。
昨日と同様に暗転とともに、エリーちゃんと入れ替わるように、ステージ上の階段に座る。
むき出しの肩と、アシンメトリーのスカートの裾から覗く右脚が、ひんやりとした空気に包まれる。
臣さんの歌い出しとともに、私のシルエットも見えて、会場が騒めき出す。
スポットライトを浴びて、私が歌い出すとともに、大歓声に包まれる。
久しぶりのその感覚に、スイッチが入り、歌の世界に入り込む。
【その身体と、その声で、協力してほしい】
臣さんは、いつだったか私にそう言った。
ステージ中央で踊りながら歌う臣さんと、決して交わることはないけれど。
心のどこかで求め合うように、時折視線を絡ませては、手を伸ばして。
心底愛おしそうにこちらを見つめてくる臣さんに、心が震え出す。
表現者として、この歌の世界を、魅せるだけ。
そのために、ここに来たんだ。
そう言い聞かせながら、何度も何度も経験してきたミュージカルや舞台の世界を思い出し、必死に歌い、演じる。
大サビに入ると、リハーサルにも、昨日のステージにもなかった動きを臣さんが見せ、会場が騒つく。
一直線にこちらへ歩き、座りながら歌う私に覆い被さるようにしてマイクを共有して。
キスしそうなくらいの近さで見つめ合って歌う。
そっと、右脚を、撫でられながら、唇により近い場所に口付けられ、ひらりと臣さんは中央へと戻っていく。
悲鳴のような歓声に包まれた中で、呆然としながらも、必死に最後まで歌いきる。
客席のケンチさんを探しても探しても。
こんなに広い会場で、その表情まで分かるわけもなくて。
頭の中がぐちゃぐちゃのまま、曲を終えて、暗転すると、昨日と同様に、転ばないように先導してくれるスタッフさんが手を取ってくれた。
『…ありがとうございました…っ』
バックステージまで到着して、その手の先を見つめれば、ほんの短い時間で、深く口付けて、片方の口角を上げて、ニヤリと笑ってステージに向かっていく臣さんがいた。
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ユキ(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます(*^^*) (2021年9月30日 21時) (
レス) id: e86d7cf610 (このIDを非表示/違反報告)
rhszh(プロフ) - 更新ありがとうございます！早速読みました！最高です！お誕生日おめでとうケンチさん！ (2021年9月30日 0時) (レス) id: e78e4a67b5 (このIDを非表示/違反報告)
きき(プロフ) - にゃんちゅうさんの小説大好きで何回も読んでいます！赤ちゃんも産まれてこれからどうなっていくのか続きが楽しみです！ (2021年4月9日 0時) (レス) id: 1cb6a41e93 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - キャー(／▽＼)♪ (2020年9月30日 7時) (レス) id: 5f63e3cc55 (このIDを非表示/違反報告)
きくりん(プロフ) - あらあらケンチさん鋭いですね。啓司さんとケンチさんの中が悪くなりませんように (2020年9月7日 0時) (レス) id: 97f67c1a4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にゃんちゅう
| 作成日時：2018年12月16日 0時
