兄さん ページ4
前世の自分の武勇伝や褒め言葉を沢山聞かされ、恥ずかしさで倒れそうになりながら何とかおばさんと別れた。
男「おー、Aちゃん！今から釣りか？」
『ああ！おじさんは狩りか？気を付けてな！』
男「......やっぱりAちゃん、親父から聞いたライター様に似とるなぁ。生まれ変わりやったりしてな！」
『ははっ！それは面白いな！』
ラインク村はとても小さいので、少し歩けばすぐに顔見知りに出会う。
今出会ったおじさんは、この村では有名な猟師で、何かと勘が鋭い。
おじさんの何気ない一言で、今までどれだけヒヤヒヤさせられた事か。
子「あ！Aさん！
これ見て！こんなに魚捕ったんやで！」
『おお！凄いじゃないか！』
子「えへへ〜！」
女「この子、Aちゃんの前でだけこんな良い子なんよ？
私の前だと文句ばっかりで.......」
子「ちょ、母さん！」
『そうなのか？会う度に自分の家族をべた褒めしているから、てっきり家でもそうなのかと思っていた』
子「Aさん！俺はそんな事─」
女「あらあら.......今日のご飯は何にしようか？」
子「も〜！！
.......母さんが作るやつなら何でもええ！」
いつ見ても幸せそうな親子だ。見ているだけで幸福感に満たされる。
......母上も、あんな感じだったんだろうか。
いや、考えるのは止そう。どうせ答えは出ない。
彼等の事も、メアリの事も、父上の事も、母上の事も、あの言葉も、あの苦しみも、あの悲しみも、全て忘れよう。
全部、忘れてしまえば良い。
もし仮に彼等も転生していたとしても、もう二度と会う事はないだろう。
『おはようお兄さん』
兄「おう、おはようA。今日はここで釣りするんか？」
『ああ。ここはフナがよく釣れるからな』
兄「そうなんか。
じゃあちょっとAのお手並み拝見させてもらうわ」
『何だそれw』
この人は、去年の私の18歳の誕生日にこの村に来た、兄さんという人だ。
初めてこの人と会った時、心臓が止まるかと思ったのを覚えている。
兄さんの外見も声も性格も、前世の私の仲間だった「兄さん」に瓜二つだったから。
だが、彼は私を見ても何の反応も示さなかったし、ライターについても何も言わないから、他人の空似なんだろう。
.....そういえばあの事件の時、彼は丁度調査の為に他国に赴いていた。
調査で疲れて帰って来た彼にも、私が遺した仕事をさせてしまったんだろうか。
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とうみん(プロフ) - あなたの作品は情景描写がとても綺麗で、つい作品の世界観にのめり込んでしまいました。有名な小説家にも文才などありません。何度も何度も書き直してやっと傑作が生まれるのです。偉そうなことを言ってすみません。とてもおもしろかったです。ありがとうございました。 (9月3日 18時) (
レス) @page36 id: a126db2d2e (このIDを非表示/違反報告)
るる - 読んでいてとても面白かったですよありがとうございます (2022年12月25日 16時) (レス) @page36 id: a2a90b5064 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメル(プロフ) - またいつか、続きを書く気持ちが湧いたならどれだけ時が経っていようとも、遠慮せず作品をまた更新してください。どうか、貴方様の作品を心の底から待っている人がいることを忘れないでください。本当にありがとうございました。コメント2つもしてすいません！ (2022年8月17日 12時) (レス) id: 803f58ab86 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメル(プロフ) - 打ち切りの言葉にはショックを受けましたが、読んでいるだけの私には分からない作者様だけの事情もあると理解しました。面白く、読みがいのある作品をどうもありがとうございました。 (2022年8月17日 12時) (レス) @page36 id: 803f58ab86 (このIDを非表示/違反報告)
Ajisaaaai(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました (2020年12月3日 8時) (レス) id: 4585525dae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クレア | 作成日時：2019年10月26日 16時
