安堵 ページ12
それから、彼等は本当に検地のみを行った。
田畑の面積を測量し、荒れた土地の有効活用法を村人に教え、水質を検査し、土地に合う種を与え.......
とても感心する働きぶりで、彼等は少しも休む事無く日の入りを迎えた。
やはり前々から思っていたが、彼等は私の下につくような人物ではなかったな。
グ「もうすぐ日も暮れる。我々はこの辺で帰るとしよう」
村「本当にありがとうございます総統閣下殿！これでラインク村もしばらくは安寧でしょう。
不躾ながら、１つ質問してもよろしいでしょうか？」
ト「俺が答えますがよろしいですか？」
村「ええ！
「人探し」と仰っておりましたが、目当ての人物はおりましたでしょうか？」
ラインク村の出入口に村人全員が集まり、彼等を残念そうに見送っていると、村長がそんな事を尋ねた。
おお、ナイスだ村長。丁度私も気になっていた。
結局彼等はあれから村長以外に話し掛ける事もせず、黙々と作業を行っていたのだ。
私に視線が向けられる事もなかったし、多分バレてない。
なら、本当に誰を探しに来たんだ？
ト「あぁ、人探しの件でしたら、もう終わりました」
村「見つかったのですか？」
ト「.....ええ。やっと」
トントンと村長の話が聞こえないくらい考え込み、ふとある人物が思い浮かんだ。
彼等が探しているのは、「兄さん」なのでは？
あのお兄さん、「兄さん」に本当に似ている。もしかしたら、前世の記憶がない「兄さん」なのかもしれない。
「兄さん」は物資の調達や他国での潜伏が得意な、とても優秀な人材だった。記憶が無いとしても、その才能は簡単には失われないだろう。
しかも、あの仲間を大切にするグルッペンの事だ。「兄さん」がこの村に居ると知ったら、間違いなく勧誘に赴くだろう。
.....ん？だが、釣りをした日以降、お兄さんの姿を見ていない。
「兄さん」は今日この村にいなかったのに、「見つかった」とはどういう事だ？
よく分からないな......
子「......Aさん」
『！
な、何？』
子「もう総統閣下達行ったで。やからAさんって呼んでええやろ？」
『そ、そうなのか。勿論だ』
深く考え込み過ぎて、彼等がいなくなった事にさえ気付かなかった。
最後に顔をよく見ておきたかったな.......もう二度と会う事はないだろうから。
そんな少しの後悔を抱えながらも、彼等にバレなかった事に安堵して、村人全員に感謝を伝えてから家に帰った。
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とうみん(プロフ) - あなたの作品は情景描写がとても綺麗で、つい作品の世界観にのめり込んでしまいました。有名な小説家にも文才などありません。何度も何度も書き直してやっと傑作が生まれるのです。偉そうなことを言ってすみません。とてもおもしろかったです。ありがとうございました。 (9月3日 18時) (
レス) @page36 id: a126db2d2e (このIDを非表示/違反報告)
るる - 読んでいてとても面白かったですよありがとうございます (2022年12月25日 16時) (レス) @page36 id: a2a90b5064 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメル(プロフ) - またいつか、続きを書く気持ちが湧いたならどれだけ時が経っていようとも、遠慮せず作品をまた更新してください。どうか、貴方様の作品を心の底から待っている人がいることを忘れないでください。本当にありがとうございました。コメント2つもしてすいません！ (2022年8月17日 12時) (レス) id: 803f58ab86 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメル(プロフ) - 打ち切りの言葉にはショックを受けましたが、読んでいるだけの私には分からない作者様だけの事情もあると理解しました。面白く、読みがいのある作品をどうもありがとうございました。 (2022年8月17日 12時) (レス) @page36 id: 803f58ab86 (このIDを非表示/違反報告)
Ajisaaaai(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました (2020年12月3日 8時) (レス) id: 4585525dae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クレア | 作成日時：2019年10月26日 16時
