四季紡ぎ。

反比例の犠牲者【時雨水埜】 ページ28

この状況は非常にヤバい
仲間がどんどん倒れていき怪我を負っていく
それと反比例するように破壊者の数は増えていった

俺の能力で多少は動きが鈍っているものの限界が近い

仲間の血が地面に広がっていく
医療に関係している人もいるから最悪の事態は避けられそうだが

「…頑張らないと」

こんなこと言っている場合じゃないと思うが
そろそろ本気を出さないとまずい

だからといって前線には立てない、だとしたら

「せめて、倒れている人を助けないと…」

そう言って周りを見渡す

「あっ…」

そこには先程倒れてしまった泡沫さんの元にいる凍乃さん
大丈夫かと思い目を逸らそうとした

しかしまた目線はその二人を捉えた
破壊者に傷付けられたであろう凍乃さんが血を流している

それを俺と同様、見ていたらしい夕暮さんが能力を使った
一瞬目が眩んだが手にしていた楽譜を持ったまま前に進む

逆流し、気分が一層悪くなる
しかし、何故か足は止められなかった

「お願いだから、間に合って…」

徐々に薄れていく意識を必死に奮い立たせ
やっとの思いで縋りつく

後ろにいる攻撃の機会を窺っていた破壊者により、
数秒後に自分が倒れるとも考えずに。

「ごめんなさい…」

俺は目の光を消したまま
真っ逆さまに地面へ落ちて行った

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