生意気と後輩(4) ページ31
「早かったですね!」
『どこまで手出していいか分からなかったから、出過ぎたかも』
車に戻れば、補助監督が伊地知の姿を見てにこりと笑った。その笑顔に伊地知は首を傾げる。
助手席に座った伊地知と、後部座席に寝っ転がるA。行きもこんな感じだったが、補助監督は慣れているようで何も言わなかった。
『腹減った』
「何か食べに行きます?Aくんが言ってた時間より、かなり余裕ありますよ」
『おー…その前に便所』
「じゃあそこのコンビニ寄りますね」
Aの態度に嫌な顔ひとつせず、むしろニコニコと対応する補助監督に感心する。
コンビニの駐車場に車を停めれば、Aが降りて補助監督と二人になる。
伊「いつもあんな感じなんでしょうか…」
伊地知の質問に、初めはキョトンとした補助監督だったが、すぐにニコリと笑った。
「そうですね!でも、伊地知くんラッキーでしたね、Aくんとペアで」
ラッキーという言葉に伊地知はハテナを頭に浮べる。
「怪我ひとつしてなくて良かったですね。彼と一緒だと怪我人も少ないし、死人は殆ど出ませんから」
伊「え、そうなんですか?」
「あれ、知りません?彼の術式」
補助監督の説明に、伊地知は開いた口が塞がらなかった。
龍神Aの術式は未来予知。
言葉通り、未来が見えるのだ。
いつも使っているとは限らないが、その術式のおかげで怪我人も死人も少ないという。
そう話す補助監督も、前に危険なところをAに助けられたらしい。
「命の恩人なんですよ」
だから嫌な顔ひとつせずAに接していたのか、と伊地知は納得した。
もしかしたら自分はAを少し誤解していたのかもしれない。彼が今日ペアじゃなかったら、自分も怪我をしていたかも。それか最悪…そこまで考えてゾクリとした。
「あ!Aくん遅いと思ったら立ち読みしてる!」
補助監督の声に、コンビニの方へ視線を向ければ、Aが雑誌コーナーにある漫画を読んでいるのが見えた。
伊「よ、呼んできます」
「すみません!お願いします!」
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涼羅 - 最高すぎます! 夢主くんの不器用な優しさが大好きです!このまま全員で幸せに暮らしてくれー…(;;) (11月6日 20時) (レス) @page34 id: e29423faae (このIDを非表示/違反報告)
mami(プロフ) - すごくすごくすごく面白かったです!!!! (2023年2月20日 1時) (レス) @page34 id: a8940d6b3a (このIDを非表示/違反報告)
M - ハピエンサイコーです!!!!面白かったです!! (2022年11月9日 22時) (レス) @page34 id: 4b18ae76aa (このIDを非表示/違反報告)
来世はマカロニになりたい - めっちゃこの小説大好きです!!!番外編とかちょー好きです!!!!!!! (2022年3月27日 18時) (レス) @page34 id: ce524a8807 (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 最高に面白くて良かったです! (2022年2月6日 12時) (レス) @page34 id: 8c70df45d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アコ | 作成日時:2021年2月27日 3時