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Unknown 3 ページ8

「声をあげちゃ、だめだよ
勘違いした人が通報したりしたらきみも嫌だろ」

月光か、はたまた街灯の光なのか
室内にかすかに届く光に照らされた刃物は気味が悪いほど光って見える

荒い呼吸を繰り返しながら私の頭の中ではこの数分の出来事を思い返している






そう、霊幻さんと別れた後私は良い気分で2階へとあがったのだ
結局あの人はストーカーだったのか、それともただの偶然毎日居合わせた人だったのか…
いずれにせよ、これで私は駅に行くときに怯えなくてすむという解放感を感じながらドアを開けた

その後はほんとにまばたき一回ぶんほどの短い間の出来事だったと思う

気がつけば私は口を抑えられ首に刃物をつきつけられていた








(ってことはこの人私の家の中でずっと待ってたってわけ……?合鍵なの…?)


自分が冷静に思えたが違う、これはただのパニックだ
現実逃避のため思考を少しずらしているだけだ
なんとかして落ち着かないと…

しかし落ち着こうとすればするほど男の口を抑える手や首のすぐ隣にある刃物ばかりに気がとられる


「絶対大声をあげたりしない?」

もちろん、とかくかく頭を縦に振る

「じゃあ手を離すね
もし何か抵抗しようものならほんとに刺すからね、僕は本気だよ」

やはり男と女だ
当たり前だが抵抗したところで勝てないだろう
かと言って逃げることもできなさそうだ
まずこの至近距離ではドアを開ける時に刺されることは間違いない

(一体私がなにしたっていうのよ……)

男の手が口から離れるもどうすればいいかわからず棒立ち状態、硬直してしまう

「何してるのほらいつもみたいにしてよ」

ほら早くと男が私をせかす
意味がわからない、いつもも何も今が初対面だ

「僕今日はコーヒーね、ミルク多め」

パチンと電気をつけ、ソファーにどかりと腰をおろしながら男は言った

おそらく「この男の頭の中では」私と彼は恋人か何かで「この男の頭の中では」部屋に着くといつも私が何か飲み物を与えるのだろう

鳥肌がたつ

しかし、いきなり襲われるよりはまだ幾分かチャンスはありそうだ
今ならまだ近くに霊幻さんがいるはずだ
「牛乳切らしてる」とかなんとか言って外に出ればいい、そうだ早く外に出ないと…


私は小刻みに震える手で冷蔵庫を開けた

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作者名:出島 | 作成日時:2016年9月5日 22時

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