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S.S. Rush 7 ページ35

背もたれを前に椅子に腰かける島崎さんの不意な、

「ところで名前はなんていうんですか」

という素朴な疑問で私はスナネズミに名前をつけることを忘れていたと気付いた


「それがさっきから考えてるんだけど全然いいのが思い浮かばなくてよー」

ショウは床で足を広げて座り、天井を見上げている

ぼけーっとしたその表情が私の頭の中でスナネズミとかぶり、思わず吹き出しそうになるのをこらえた

ご飯のためテレビの横に移されたスナネズミは寝ているのか起きているのかよくわからない





大皿を机の上に置くと、いち早く反応したショウが配置につく

「お、今日は酢豚か!」

「私まですみません」

島崎さんが軽く会釈し、言った

「いいんですよ」

私はショウが家に来るようになってからご飯を多目につくることがクセになってしまったのだ

人1人増えたところで、それは今さらな話であった


「げー、Aピーマン入れんなよな〜…」

「好き嫌いしてると大きくなれないわよ」

私の身長を追い越すんじゃなかったの、と言えばショウは大人しくピーマンを食べた



「さっきのスナネズミの名前のことなんですが、決まらないなら酢豚でいいんじゃないでしょうか」

そう言うと島崎さんは酢豚を口に入れた
私とショウは唖然とし、同時に言葉につまった

「…って!なんでネズミに豚って名前つけんだよ、おかしーだろ!」
「そうですかね」
(おかしいポイントはそこじゃないと思う…)

どこかずれているふたりの会話を傍目に私は酢豚に箸をつけた


しばらくぎゃーぎゃー島崎さんに文句を言っていたショウだが、突然こちらに向き直し、
「Aは何がいいと思う?」
と聞いてきた

「Aがつける名前なら俺はなんでも賛成だぜ!」

嬉しそうにこちらを見てくるショウの口元にはご飯粒がついていた

「んー、ショウがもらってきたんだから…
ショウの子どもでコショウっていうのは?」

我ながら良いネーミングセンスだと感心する

が、不思議なことになんでも賛成と言ったショウが視線を合わせてくれない


(ここにはろくな名付け親がいない…)






その後、スナネズミはショウの提案により「チョビ」と名付けられた

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作者名:出島 | 作成日時:2016年9月5日 22時

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