S.S. Rush 6 ページ34
ピンポーン
立ち上がり、玄関へと向かう
どうやら島崎さんがショウを迎えに来たようだ
肝心のショウはというと、
インターホンの音に見向きもせずスナネズミを見ている
余程気に入ったらしい
「はい」
「どうも」
ドアを開けるとやはりそこには島崎さんが立っていた
島崎さんは微笑んだあと、急に真剣な顔つきになり私の腕を掴んで外へと引っ張った
「え!?ちょっ、島崎さん!?」
大人の男の力で引っ張られると簡単に私の体は外に出た
裸足に地面の冷ややかな温度が伝わってくる
「Aさん…あなたには酷な話かもしれませんが…
この家、ネズミがいます!」
「…え」
事態が飲み込めない私と島崎さんの間に妙な空気が生まれる
島崎さんは相変わらず部屋の方を真剣な表情で見つめている
「バーカ、島崎
こいつはスナネズミって動物で俺達が飼って…
って、てめぇなにAに触ってんだよ!!!」
さっきまで奥で微動だにせずスナネズミを観賞していたのに
島崎さんの私の腕をつかむ手を見ると一目散にこちらへかけてきた
そして島崎さんの手を私から離すと今度は私の両肩を掴んで「なにもされてねーか!?」と眉をハの字に曲げて聞いてくる
「ち、違うのよ、ショウ
島崎さんはただ心配してくれただけ」
ですよね、と島崎さんに合意を求めるも
「Aさん随分とショウ君に大事にされてますね」
と、当の本人は弁解をするどころかまるでこの状況を楽しんでいるようだ
「やだなーショウ君、そんなに睨まなくても…
あ、そうだ私にもそのスナネズミ見せてくださいよ」
最初こそショウは渋っていたものの、
島崎さんがスナネズミを見ている間ショウもまだスナネズミを見ていられる旨を伝えると、自分から進んで島崎さんをスナネズミの場所へと案内しだした
(単純なやつ…)
「こいつがスナネズミ」
「ハムスターのようなものですか」
「まあな…って島崎目、見えてねーのになんでんなことわかんだよ」
島崎さんは「音や匂いなどでだいたいはわかりますよ」と顎に手を添えてスナネズミの方へ顔を向けた
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作者名:出島 | 作成日時:2016年9月5日 22時