うちの弟が大変お世話になっております【名探偵コナン】

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安「さ、どうぞ」


いつの間にか助手席側に来ていた安室さんの手が目の前に差し出される。

なによ…さっきまでの私がめちゃくちゃバカみたいじゃない。
一人で焦って、一人で怒って…もう、何のよッ


そんなの、安室さんの正体がはっきりしないせいじゃない。


『すみません、ありがとうございます』


差し出された手にそっと手をのせると、優しく包まれて車の外へとエスコートされる。
車外へ出ると、ザーッと心地いい波の音。


『わー。こんなところあったなんて知りませんでした』

安「たまに一人で来るんです。ここは静かですからね」

『私に教えちゃってよかったんですか？』

安「構いませんよ。Aさん言っていたじゃないですか…」

『え？』

安「初めてを共有したいって…まぁ、僕はここに来るのは初めてではないので厳密には共有しきれていないですが…初めて僕とAさんが海に来た日ということで、時間を共有させて頂きました」

『ホント、よく覚えてましたね。
連れてきてくれてありがとうございます』


でも次は、出来ればこんな一人で焦るような事態になりたくないかな…
いやいや、次はないでしょっ

海沿いのフェンスに並んで立つ私と安室さんに、心地よい夜風が吹き抜けていく。
腕を組んでフェンスにそれをのせた体制の安室さんが此方をじっと見つめてくる。

その蒼はこの薄暗さに溶け込むことはなくて


安「本当は、送り届けるだけのつもりだったんですが…
Aさんと居ると、どうしても欲が出てしまいますね」

『欲…ですか？』

安「はい…」


フェンスに乗せられた私の手に、安室さんの手が重なり、組まれていた安室さんの手はいつしか頬杖に。

一体今日何回手を握られてるんだろう私…


安「(放さなくてはいけない対象だと解かりきっているんだが…
自分以外の奴が彼女と共にいるところなんて想像もしたくないとは…)」

『安室さん？』

安「…送り届けなければと、解かっているんですが…少しでも長くそばに居たいと…」


握られている手にギュッと力が込められる。
先程まで力弱く笑っていた蒼は、一層澄み切って
私を捕えて放してくれそうにない。

蒼ってこんなに熱い色だったけ…


安「放し難く思ってしまう…」


スローモーションの様にゆっくりと解かれていく頬杖

近づく蒼に

感じる互いの吐息…

こわばる肩に回される熱


安「これほどまでに想うのは、Aさんが初めてです…」









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