君を振り向かせるのは５【HQ】

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黒尾side



期待、する

あんな顔で一緒に写真撮りたかっただなんて言われたら普通に期待するじゃん


俺の携帯に収まった写真をAに送って


放課後、今日は運動会だから部活がない俺は夜久と共に靴箱から靴を取り出した


すると



「黒尾先輩！」



目の前に女の子が来たなと思ったら俺の名前を呼んで



「ちょっと、お話いいですか！」



緊張しているのかキュッの握ったスカートの端に赤く染まった頬は


これから何を言われるのかわかってしまった



「いいけど」
「えっと、じゃあ…」
「悪い夜久、先帰ってて」
「おう」



夜久にそう言って女の子と共に歩き出して


あぁ、この子、知ってる


運動会の時も写真撮ってくださいって俺のところに来た子だ


誰もいない校舎裏まで来ると立ち止まった



「あ、えっと。その……」



俺はその子の言葉を待つだけで



「私、黒尾先輩が好きなんです！」



断るって結果がわかっているのに、告白させたのは酷だっただろうか



「あの、だからもしよかったら付き合ってもらえませんか？」
「…ごめん。悪いけど付き合えない」
「…そう、ですか……」



涙を目にためるその子に



「ごめんな」



とポンと頭に手を置いてしまったのは


多分俺の悪い癖


本来なら優しくしたら駄目だってわかっているのに、罪悪感なんだろう



――好きな子以外に触るとか



また赤葦の言葉が過った



「ありがとう、ございました、」
「うん」



そう言うと走り去って行った女の子


頭を掻いて。少し時間を置いてから歩き出した




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