妹が好きで何が悪い２【プリレジェ】

ep12 朱雀奏 ページ4

「そう、とても上手ですね」


静かな空間に綺麗なピアノの音色が響く

初めて奏さんにピアノを教えてもらった日からこうしてたまに放課後ピアノを教えてもらっているのだ


「Aはピアノのセンスがあるのかもしれないね」
『そんなことないです。奏さんがとても上手に教えてくれるから…』
「ピアノは好き？」
『はい、好きです』


そう言うと少し照れたように笑う奏さんに心臓がドキリと鳴った

彼はピアノが好きかと聞いたんだ。彼のことじゃない

けれどそんな表情をされたら勘違いしてしまいそうになる


『あ、そうだ。私部活決めたんです』


だから話題を変えるように言って


『製菓部に入ろうかと』
「製菓部？お菓子を作るのですか？」
『はい！元々何か作るのは好きですし、作ったら家族の人たちにあげたいなぁと思って』


前に見学に行った時、私が通っていた学校とは違くて作るお菓子が凄く豪華で

きっと美味しいお菓子を持って帰ったらいちごちゃんや仁くんが喜んでくれるだろう

それにきっとあかりさんも


「家族……京極家のですか？」
『はい』
「それは京極尊人とその弟も入っているんですよね。少し妬けますね」


すると眉根を下げて笑った奏さん


『あー…どうでしょう。二人は甘い物あまり好きじゃないかも……？』


あかりさんの誕生日の時に食べたケーキも小さいのでいいと言っていたし、いちごちゃんや仁くんが欲しがれば分け与えていた


「そうですか。じゃあ余ったら僕にもください」
『奏さん甘い物好きなんですか？』
「そういうわけじゃないですが、Aの作ったものが食べたいので」


柔らかく笑った奏さんがそっと私の手を取って小指を絡ませる


「約束ですよ」
『ッ……はい……』


何故この人はこんなにも王子様なのだろう

彼といるとまるで自分がお姫様になったような気分になる


「ピアノ、もう一回弾きます？」
『は、はい。そうですね』


とても不思議な感覚だ

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