妹が好きで何が悪い２【プリレジェ】

eo20 朱雀奏 ページ30

「おはようA」


次の日、今日も尊兄と竜ちゃんに送られてロイヤルフェニックスに着けば、校門前にはいつものように奏さんがいた

毎朝ここで私のことを待っていてくれる彼は周りからの視線が結構痛いことは多分気付いていないだろう

そして、元と瞳が合えば微笑まれて

けれど次に鋭い瞳を向けたのは多分竜ちゃんにだ

昨日あれから仲良く帰れるものだと思っていた二人だが、数分後にはまた言い合いが始まってしまったのだ

何度かそれを宥めての繰り返しで、最後の方は奏さんと尊兄の自慢し合いになっていた


「お手をどうぞ」


いつものように奏さんに手を差し伸べられればそっとそれを重ねて

そう、まるでお姫様

何故こんなことになっているのかわからないけれど、奏さんのそれを断ることなんてできなくて

毎朝これが普通となりつつある


『じゃあ、いってきます。二人とも送ってくれてありがとう』
「おう。学校頑張れよ」
「じゃあな」


二人に手を振ると奏さんと共に歩き出して、その少し後ろに久遠さんと元


「今日はアルバイトですか？」
『いえ、今日はお休みで部活があります』
「もしかして初めての部活ですか？」


キラキラと瞳を輝かせる奏さんに頷いて


「では部活が終わるまで待っているので一緒に帰りましょう」
『え、でもどのくらいで終わるのかわからないですし……』
「Aが部活の間僕もピアノを弾いているので大丈夫ですよ」


柔らかく微笑んだ奏さん

そんな彼と話しながら廊下を歩いて


『じゃあ…部活が終わったら音楽室に行きます』


見えてきた自分の教室


『ではまた放課後に』


止まった足に、重なったままの手を離そうとすれば何故かキュッと握られたそれ


『えっとー……』
「なんだか離れるのが惜しいです」


困ったような表情でそんなことを言う彼に思わずドキリと心臓が揺れてしまう


「奏、彼女が困ってるぞ」
「あぁ…ごめんねA」
『い、いえ！』


久遠さんの言葉にそっと手が離れると「放課後に」と言って奏さんは去って行った

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