▽ 京極尊人 ページ25
光輝くんに家の近くまで送ってもらった後、急に緊張感と気まずさが襲ってきた私は
どうか皆寝ていますようにと願いながらそーっとドアを開けた
けれど
「A!!どこ行ってたんだよ!」
『ご、ごめ――』
「スッゲー心配した!!」
ドアを開けるなりそう言って私の体を抱きしめた尊兄の腕は力強くて
「…ごめん、俺が変なこと言ったから――」
『ちが……』
心臓が痛くなった
「本当にごめん……」
尊兄の声じゃないくらい弱々しいそれと、抱きしめる力強さからどれだけ心配していたかが痛い程伝わって
何やってんだろう私
こんなにも心配かけてしまったなんて
『…ごめんね、尊兄。心配かけてごめんなさい』
そっと離れた体に目が合えば初めて見る尊兄のそんな顔に心臓がまたズキリと痛んだ
「俺もごめん」
『ううん』
首を横に振って、微笑めばそれを返してくれた尊兄
すると咳払いが聞こえて見れば竜ちゃんがいて、酷いくらい怖い顔で睨んでいたその瞳に思わずビクリと肩が揺れた
「どこ行ってたわけ?」
低い声が響く
「こんな時間に外ウロウロして」
「竜」
『ごめん、なさい』
「何かあったらどうすんだよ!」
「竜、今回のことは俺も悪くて」
「兄貴が悪かろうがなんだろうがもう少し考えるだろ」
『っ……』
確かに竜ちゃんの言う通りだ
ハァとため息が聞こえて
「まぁ、何もなかったからよかったけど」
そう言うと私の前まで来た竜ちゃんは私の頬を抓った
「次はマジで怒るから」
『ごめんなさい』
すると竜ちゃんの肩に腕を回した尊兄が
「竜もスゲー心配してたってことだよな!」
「まぁ」
「よし!じゃあ寝るか!」
ぎゅっと掴まれた右手に
「今日は俺の隣な!」
『え!?』
「もう仁といちご寝てるし」
引っ張られれば歩き出した足
「じゃあ俺は反対隣で」
そう言って掴まれた左手は竜ちゃんの手に包まれていて
フッと笑った竜ちゃんに、さっきまであんなに睨んでいたのにとは言えず
もう絶対に夜一人で出歩くのはやめようと誓った
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成田(プロフ) - 千さん» はじめましてこんばんは!凄く好きだなんて嬉しいコメントありがとうございます!最近更新がゆっくりでして、お優しい言葉とても嬉しいです。やっと2が終わり、3に続けることができましたのでまたお時間ある時にでも読んでくださると嬉しいです! (2020年6月14日 1時) (レス) id: 5763570508 (このIDを非表示/違反報告)
千(プロフ) - 凄く好きで読んでいます。楽しみに待ってますので熱中症などに気をつけて頑張ってくださいね。ゆっくりで大丈夫ですので待ってます。 (2020年6月13日 9時) (レス) id: 5f39613bed (このIDを非表示/違反報告)
成田(プロフ) - みきさん» みきさんコメントありがとうございます!クッキーのくだりもありがとうございます!そう言っていただいて嬉しいです☆そして今日は誰と何をする?も読んでくださってるんですね!凄く嬉しいです!こちらこそ嬉しいコメントありがとうございます!とても活力になります! (2020年4月19日 0時) (レス) id: d5fb161253 (このIDを非表示/違反報告)
みき - クッキーを貰った奏様と兄弟には笑わせてもらいました(^^)今日は誰と何をする?も楽しませてもらっています。ステキなお話ありがとうございます♪ (2020年4月18日 23時) (携帯から) (レス) id: 28e8727e1e (このIDを非表示/違反報告)
成田(プロフ) - みきさん» はじめまして嬉しいお言葉ありがとうございます!どう出会わせるか色々と考えたのでとても嬉しいです!毎日がドキドキな主人公さんが今後どうなるか楽しみにしていただけたらなと思います! (2020年3月23日 23時) (レス) id: d5fb161253 (このIDを非表示/違反報告)
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