期待 ページ18
談話室に着く。扉の先は、ちゃんとした「談話室」だった。当たり前か、宮沢先生に案内してもらったのだから。
談話室の中には、まだ何人か人がいた。本を読んでいる人、数人で集まってお喋りしている人たち。中には、漠然と何かを考え込んでいるような人もいる。
「風月さん、これから何かするの？」
宮沢先生は、おそらく私が「談話室」自体に用があったと思っているのだろう。しかし、私は「談話室」に用があったのではなく、「談話室に近い私の部屋」に用があったのだ。もちろん用とは寝ることである。
「部屋に戻って⋯⋯寝ようかと」
「そっかぁ、じゃあまた明日だね！ おやすみなさい、風月さん！」
手を大きく振りながら見送ってくれる宮沢先生。私も小さく片手を振り返して談話室を出た。案内してくれた宮沢先生には申し訳ない気もしたが。
自分の部屋に入り、備え付けられたベッドにダイブする。そして今日一日のことをぼんやりと思い出した。
私は、まだ花鳥風月として生きなければならない。それだけが、それだけのことが、苦痛にしか思えない。織田作くんなんかは、また、こうして生きられるのが嬉しいのだろうけど。
ーー寝たら、全てが、無かったことにならないのかしら。
不思議だ。昔自分が書いた小説の一文を、ふとしたところで思い返した。確か、これは主人公が不思議な国に迷い込んだときに発した台詞だ。
寝たら、無かったことに。なればいいのに。なるかもしれない。そんな淡い期待を胸に、私は眠りについた。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
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ラエル(プロフ) - 白樺派先生方をお願いします (2023年4月14日 15時) (
レス) @page34 id: 2dd5f200d4 (このIDを非表示/違反報告)
奏星(プロフ) - はい！是非お願いします！ (2017年11月12日 18時) (レス) id: e5211bd18f (このIDを非表示/違反報告)
有栖川白兎 - 奏星さん» 石川先生は次の話で登場させるつもりですが、北原先生も登場させたほうがよろしいですかね？彼も一応、明星には関係あるので…… (2017年11月12日 17時) (レス) id: 5116200095 (このIDを非表示/違反報告)
奏星(プロフ) - はい！ありがとうございます！ (2017年11月12日 14時) (レス) id: e5211bd18f (このIDを非表示/違反報告)
有栖川白兎 - 奏星さん» 閲覧、コメントありがとうございます。明星の先生方とはいつか絡ませたいと思っていたのでちょうどよかったです。近いうちに書きますね (2017年11月12日 14時) (レス) id: 5116200095 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：有栖川白兎 | 作成日時：2017年11月3日 14時
