熱中 ページ11
一通り、仕事を片付けて談話室へ向かう。食堂でも良かったが、そこまで空腹でもないし、先生方のほうが空腹だろうから止めておいた。先生方は皆、食堂にいるから、どうせ行っても席はないだろう。
夜なのに相変わらずカーテンの閉まっていない談話室は、窓にぼんやりと灯りが映っている。その窓には、綺麗な横顔も映っていた。
「花鳥⋯⋯じゃなくて、京夜先生？ どうしたんですか、こんなところで」
京夜先生は、一生懸命に本を読んでいた。題名は見えない。先生は、私の声に驚いたようで、肩を少し震わせてこちらを向いた。
「なんだ⋯⋯司書さんでしたか」
ふぅ、と溜め息をついて先生は言う。本に栞を挟んで、ぱたりと閉じた先生は、座っていたソファーの向かい側にあるソファを指差した。座れ、ということだろうか。失礼します、と声をかけてから私はソファに腰掛けた。
「⋯⋯織田作くんに連れてこられたんですけど、気付いたらいなくなってました」
京夜先生は、太宰先生の「御伽草子」を読んでいたらしい。熱中して読んでいるうちに、先程まではぽつぽつとあった人影が、今はなくなってしまったと言う。
「織田作くん⋯⋯どこ行ったんだろ。太宰も⋯⋯どこに⋯⋯？」
織田先生と太宰先生なら、食堂で見た気がする。私はそのことを伝えたが、京夜先生は「そうですか」なんて素っ気無い返事をし、また本を読み始めた。
「『御伽草子』、読むの初めてですか？」
聞いてみたが、よほど熱中しているらしい。返事は返ってこなかった。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
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ラエル(プロフ) - 白樺派先生方をお願いします (2023年4月14日 15時) (
レス) @page34 id: 2dd5f200d4 (このIDを非表示/違反報告)
奏星(プロフ) - はい！是非お願いします！ (2017年11月12日 18時) (レス) id: e5211bd18f (このIDを非表示/違反報告)
有栖川白兎 - 奏星さん» 石川先生は次の話で登場させるつもりですが、北原先生も登場させたほうがよろしいですかね？彼も一応、明星には関係あるので…… (2017年11月12日 17時) (レス) id: 5116200095 (このIDを非表示/違反報告)
奏星(プロフ) - はい！ありがとうございます！ (2017年11月12日 14時) (レス) id: e5211bd18f (このIDを非表示/違反報告)
有栖川白兎 - 奏星さん» 閲覧、コメントありがとうございます。明星の先生方とはいつか絡ませたいと思っていたのでちょうどよかったです。近いうちに書きますね (2017年11月12日 14時) (レス) id: 5116200095 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：有栖川白兎 | 作成日時：2017年11月3日 14時
