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臨終 ページ2

死ぬ、ということに不思議と疑問はなかった。

嗚呼、死ぬんだな。そんな戯言のようなものだけが私の脳内に浮かんでいる。

目の前にいるのは、実の弟。私は薄目のまま、弟を抱き締めた。そして、もう目の開かなくなった弟に覆いかぶさるように伏す。

弟はまだ十歳。死ぬには早すぎるような気もするが、もはや間に合うはずもない。じゃあせめて、私も一緒に死のうじゃないか。

熱い。部屋の中が轟々と燃えている。扉はもう焼けて扉の役目を果たしてはいない。煙が目に染み、喉も痛くなってきた。先程まで白かった煙も、今はもう黒くなり、視界はどんどん狭くなる。

煙が痛い。目に突き刺さるような痛みだ。左目がついに開かなくなっていく。まだ見える右目で、どうにか視界を広げて私は見つけた。

窓。

ここは一階。ここから出ればまだ間に合うかもしれない。私は弟を抱いて、窓に近づく。姿勢を低くしたまま。「大丈夫、今助けるよ」と弟に言い聞かせ、私は窓に辿り着いた。

どうか、気付いてくれますように。

私は弟を窓から脱出させた。ふわりと放り投げるように。ごめんね、こんな兄で。この方法でしか助けられなくてごめん。

私は嫌な予感がして、上を見上げた。窓枠の上の方には、もう炎がまわっていた。

私は目を閉じた。

ーーー
花鳥風月ーーもとい津島京夜
1948/4/19
自宅の火事にて死去。

死の直前に実の弟を窓から放り投げて助けたが、自分はそのまま死に至った。

虚無→←花鳥風月


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ラエル(プロフ) - 白樺派先生方をお願いします (2023年4月14日 15時) (レス) @page34 id: 2dd5f200d4 (このIDを非表示/違反報告)
奏星(プロフ) - はい!是非お願いします! (2017年11月12日 18時) (レス) id: e5211bd18f (このIDを非表示/違反報告)
有栖川白兎 - 奏星さん» 石川先生は次の話で登場させるつもりですが、北原先生も登場させたほうがよろしいですかね?彼も一応、明星には関係あるので…… (2017年11月12日 17時) (レス) id: 5116200095 (このIDを非表示/違反報告)
奏星(プロフ) - はい!ありがとうございます! (2017年11月12日 14時) (レス) id: e5211bd18f (このIDを非表示/違反報告)
有栖川白兎 - 奏星さん» 閲覧、コメントありがとうございます。明星の先生方とはいつか絡ませたいと思っていたのでちょうどよかったです。近いうちに書きますね (2017年11月12日 14時) (レス) id: 5116200095 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:有栖川白兎 | 作成日時:2017年11月3日 14時

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