[短編集]＿一日一笑顔＿[曇天に笑う]

嘉神―…以上未満((希愛様リク) ページ34

「そろそろ寒くなってきたね」


「・・・若い奴が何を言うとるんじゃ」


「そういう嘉神は・・・大丈夫なの」



見てるこっちが寒いわ


そう思いつつ、いつもの格好の嘉神を見る


・・・あまり、直視は出来ないけれど。


恥ずかしいし。



「・・・ぅ、っくしゅっ」



うぅ、くしゃみ・・・。


それを見ると、嘉神は面白そうに笑う。



「まだまだじゃねぇ・・・ｶｶｯ」


「何が・・てか笑うな・・・」



と、口をとがらせながらその場にしゃがみ込む。


すると嘉神は自分にまいていたマフラーのようなモノを外し、こちらに



「・・・？」


「何をぽかんとしよるんじゃ」


「え、あ・・・」


「寒いんじゃろ、はよぅコレかけんか」


「・・・い、いやいい」



恥ずかしいだろばかあっ!!


何を笑顔で言いやがるんですか！



「あ?何でじゃ」


「何でもですー」


「風邪引いたら、僕が困るんじゃけど」


「何でアンタが困るの」


「気づかんかねェ」



がしがし、と頭を掻いた後、私と同じ目線までしゃがむ


そして、私の頬を片手だけで掴むとギザギザの歯を見せ笑った



「まだまだ子供じゃのぅ」


「こ・・・ッ子供ですー！てか顔近い！」


「わざとじゃ」


「なあっ!?」



嘉神の前髪がおでこの辺をくすぐる


というか、本当に近・・っ



「か・・・がみ・・・ッ」



鼻が少しだけ触れて、思わず目を瞑る


ドキドキと心拍数もやばい


顔だって絶対赤い



「阿呆」


「・・・っえ」



ため息交じりの声が聞こえて、私の顔を掴んでいた手が離れた


目を開けると、照れているような顔をしている嘉神がそっぽを向いていた



「・・あ、えと・・・その・・」


「間抜けな顔じゃねぇ」


「ッ、もう・・・色々と急すぎる」



先程まで照れていたのに、私の動揺を見てケロッと元に戻りやがって・・・。


あーぁ、期待した自分が馬鹿みたい・・・。



「ほれ、これどうするんじゃ」



そう差し出したのは、嘉神のマフラー。


少しテンションが下がった自分は冷たく答える。



「いらない」


「可愛げがないのぅ」


「無くてi・・てな、何で二人でマフラーし・・・っ!?」


「黙っちょれ」



何時の間に・・・。


私の心臓持たないなぁ、きっと


・・・そう思いつつ、嘉神の隣に並んだ。

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