目覚め ページ19
何も無い真っ白な場所に立っていた。
歩けど歩けど何も無い。何処が上で何処が下なのか。其れすら分からなくなってしまう。
「A」
何処からか懐かしい声が聞こえた気がした。
私は、唯々其処へ向かった。
真っ白な空間が光った気がした。
彼処に行けばきっと、光が見える。
けれど、私の足は近付くにつれて遅くなる。
何人もの人を殺した私が、彼処に行ってもいいのだろうか。
私の足は止まった。
其れからは、どんどん反対方向に進んだ。
光が失われていく。
其れでも、進んだ。
歩いて歩いて歩いて。歩き続けていたら、落ちた。‘あの時’と同じ様な感覚がした。
けれど、何処迄落ちても、痛みは来ない。
私は、意識を手放した。
ボヤッとした頭で考える。目の前には白い天井。カーテン。ふわふわした床。そして何より、止まることのない、自身の鼓動。
私は、理解した。
嗚呼、死ななかったのか。
と。
身体を起こす。ベットから降りて、ペタペタと音を立てて歩く。
扉に手を掛けて、開けようとした所で、
ガチャっ
私が開ける事なく、扉が開いた。
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みさき(プロフ) - 面白いです!続き楽しみにしてます! (2019年7月9日 23時) (レス) id: 071d00f0ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:銀花 | 作成日時:2019年6月14日 21時