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私がバラエティー番組とか番宣にあんまり出ないのもそれがあるからです。
っと彼女は少しおどけたようにそう付け加えた。

そんな彼女に私は質問を重ねる。

「Aさんはそういうとき、どうしてるんですか?」

私のその言葉に少し躊躇したけれど、答えてくれる。

「私は本番より本番前が緊張するんです。
本番になったら役に入ってしまえばいいから。
でも、本番前は余計なことが頭に浮かんできてしまう……昔はある人との約束を心の拠り所にして何とか自分を保っていたけど、今は一番心安らぐ声を聞くんです。彼の声を聞いていると大丈夫、きっとやれるよって耳元で応援してくれているようなそんな気がして、、頭の中にあった不安が小さくなって私を奮い立たせてくれるんです」


彼女は声の彼が誰かはっきり言わなかったけど、聞かなくても分かる。
だって、そう語る彼女の表情は今まで見た中で一番幸せそうで、綺麗だったから。


彼女の言葉に聞き入っていたら、次の撮影を知らせる声がスタジオに響き渡った。


「ごめんなさい。
もっと話していたいけど、次、私のシーンなんです。
私の話きっと参考にならなかったですよね」


ごめんなさいっと困ったように言う彼女は、
立ち上がりながら最後に私の顔をみて、
さっきの話2人だけの秘密ですよ?
そう、お茶目に言って撮影に戻って行った。


その後ろ姿に私は慌てて礼を言って彼女の背中を見送る。


遠くなっていく姿。
その姿を見ながら思う。
彼女も私と同じように弱い部分を持っているのだと。


監督からの期待、スタッフからの視聴率や興行収入への期待。その全てを彼女は一人で抱えているのだ。
不安や恐怖を感じない訳ない。


彼女は、まだ十代の頃から、その重圧とそれに負けそうな自分の弱さと向き合ってきたのだ。


大人になった今でも、それは付き纏っているのだろう。
より大きな物となって。
だから彼女はいつも本番直前までイヤホンを着けて彼の声を聞いているのだろう。
負の感情に負けないように。


一人で向き合うには大きすぎるそれと闘う彼女の心を
彼はいとも簡単に救ってくれているのだ。
彼女の事を救ってくれる支えてくれる人がいて良かったと心の底から思う。
彼がいるから彼女は今もこうしてカメラの前で輝いているのだから。


私も彼女のように支えとなるものを見つけていこう。
彼女のように、心の弱さと向き合うために。
そして、いつかまた彼女と一緒に撮影出来るように。

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(プロフ) - とても読んでて楽しかったです!続きのパスワード教えて欲しいです! (2022年2月8日 12時) (レス) @page37 id: 95db141eb0 (このIDを非表示/違反報告)
美加莉(プロフ) - さくらさん» あ!そうなんですね!!いえいえ、全然大丈夫です!ご対応ありがとうございました😭 (2021年11月23日 21時) (レス) id: d0142f9e8a (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 美加莉さん» すみません!最初に小春という名前で始めた名残で一旦、小春という名前で書いて後で名前変換できるようにしています。ですが、所々出来ていなかったみたいです。サッと直しましたが多分まだ直せていない部分があると思うので、時間がある時に見直して直していきますね。 (2021年11月23日 21時) (レス) id: 7b4f4afa76 (このIDを非表示/違反報告)
美加莉(プロフ) - いつも楽しみに拝見しています!一つ質問なのですが名前の小春というのは主人公の名前なのでしょうか? (2021年11月23日 21時) (レス) @page17 id: d0142f9e8a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さくら | 作成日時:2021年11月15日 19時

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