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Elle side
「ここのケーキほんとうに美味しい!
エル買ってきてくれてありがとう」
私は目の前で幸せそうにケーキを食べているAを見つめながら、この表情を見るのに随分と苦労したことを思い出す。
Aの事は初めて出会う前から知っていた。
当時、ハリウッドでは、日本人の天才女優がハリウッドに現れたと騒然としていて、Aの話題で持ち切りだったから。
そんな彼女が隣のスタジオで撮影をしているというから、私は好奇心で見に行ったのだ。
彼女については同い年ということだけ知っていた。
だから勝手に気が強くて派手な子だと思っていた。
ハリウッドで登り詰めるには自己アピール力と気の強さが必要だ。
若くして主役を張るような彼女なら、より一層そういう性格の子なんだろうなと思っていた。
だけど、予想に反して彼女は大人しく静かに一人ポツンと隅の方に座っていた。
そんな彼女の周りには澄んだ雰囲気が漂っていて恐ろしいほど透明感に満ち溢れていた。
端正な容姿にその雰囲気が相まって、安易に近づいて仕舞えば、彼女を穢してしまいそうで近づくのが恐ろしいとさえ感じた。
回りの共演者もそんな小春の事を遠巻きにみていて、彼女は周りから浮いていた。
当時は、日本人ということや妬みから彼女を厳しい目で見ている人もいて現場の雰囲気は良いとはいえなかった。
彼女は自分から積極的に声をかけに行くタイプではないし、今よりシャイで大人しかったから、共演者の彼女を除外するような雰囲気を感じ取って誰とも話せなかったのだろう。
そんな今まで出会ったタイプと全く異なる彼女に興味が湧いて話してみたくなったのだ。
初めて彼女に声を掛けたとき、彼女はにこやかに応えてくれたけど、彼女と私の間には目には見えない分厚い壁が存在していた。
私はそんな素顔を見せてくれない彼女の内面が知りたくて、撮影の待ち時間ができる度に彼女の元へ通ったのだ。
(今覚えば、半分意地になっていた)
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優(プロフ) - とても読んでて楽しかったです!続きのパスワード教えて欲しいです! (2022年2月8日 12時) (レス) @page37 id: 95db141eb0 (このIDを非表示/違反報告)
美加莉(プロフ) - さくらさん» あ!そうなんですね!!いえいえ、全然大丈夫です!ご対応ありがとうございました😭 (2021年11月23日 21時) (レス) id: d0142f9e8a (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 美加莉さん» すみません!最初に小春という名前で始めた名残で一旦、小春という名前で書いて後で名前変換できるようにしています。ですが、所々出来ていなかったみたいです。サッと直しましたが多分まだ直せていない部分があると思うので、時間がある時に見直して直していきますね。 (2021年11月23日 21時) (レス) id: 7b4f4afa76 (このIDを非表示/違反報告)
美加莉(プロフ) - いつも楽しみに拝見しています!一つ質問なのですが名前の小春というのは主人公の名前なのでしょうか? (2021年11月23日 21時) (レス) @page17 id: d0142f9e8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら | 作成日時:2021年11月15日 19時