LOVE~second~

ひみつ ページ12

「皆さんにとって家族とはどんな存在ですか？」

司会者からの言葉に私はどう答えようか他の共演者が答えているのを聞きながら頭を悩ませる。


映画の公開初日となる今日、私はある映画館で行われている舞台挨拶に参加している。


今回の作品は家族愛をテーマにした作品なだけあり、トーク内容も家族に関連する内容だ。


「Aさんは、どうですか？」


司会者の言葉と共に会場にいる観客の視線が一斉に私へと向けられる。


向けられた視線から何処か彼について話すのを期待しているような感じを受けるけど、気づいていない振りをして話し始めた。



「うーん難しいですが、私にとって家族はお互い助け合ったり補い合う存在だと思います」


「助け合ったり補い合う存在ですか」


「はい。
私は幼い頃から父の仕事について各地を転々としていたのですが、国ごとに文化や生活が違ってなかなか慣れることが出来なくて、、自然と兄や弟と助け合いながら適応していってました。だから、自分に足りないところを補ってくれるという部分でそう思います」


「なるほど。具体的にはどのように助け合われてきたんですか？」


「うーん。そうですね……例えば、違う国にいけば父が慣れるために家の中でもその国の言葉で私達に話すんです。でも、当然、私たちには父の言っていることの意味が分からなくて最初は凄く大変でした」


「えー！それは大変ですね」


会場に司会者の大袈裟なリアクションと観客からの驚きの声が響く。


「はい。でも、そういう時は兄と弟と協力して、父の言葉を解読していったんです。多分あの言葉の意味はこうだよねって。それがあったから理解するスピードは早かったと思います。今となっては兄と弟と協力しながら、ある意味遊び感覚で覚えられたので良かったなっと思います」


私は当時の事を思い出し懐かしく思いながら、少し目を細めた。


「お父様のスパルタ教育と兄弟の連携プレーのお陰でAさんの世界で活躍できる語学力が培われたのですね」


そう言って次のトークに切り替わったのを確認して私は、ほっと一息つく。

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