87頁 ページ41
“ A、A ”
遠くから聴こえる私を呼ぶ声
その声は段々と近くに聴こえてくる
重い瞼を開くと
眠る渚を抱っこした紫耀がこちらを覗き込んでいる
紫耀「A！A！」
「........紫耀
ここ、どこ？」
紫耀「.......病院や
A、1週間も寝とったんやで？
俺のこと分かる？
ちゃんと覚えとる？」
「紫耀と渚とショッピングモールに行って
紫耀がアイスを買いに行ってる間に
先に渚と車に戻ろうとしてて
向かってる途中で
渚が繋いでた手を離してそこに車が来て.......」
頭がズキズキと痛み出す
それと共に苦しくなってくる呼吸
紫耀「ごめん、ごめんな
無理に思い出さなくてええで
いや、なんかな
俺、アイス買いに行ったはずやのに
渚とAの元に迫り来る車に気付いたのか知らんねんけど
二人を突き飛ばして
俺が轢かれたみたいなんや
でも自分で全然覚えてへんねん
やからA覚えとるかな思って」
「紫耀.....ごめんね
あたしが渚の手をちゃんと強く握ってなかったから
紫耀は、大丈夫なの？」
紫耀「俺は大丈夫みたいや(笑)
あんなに激しくぶつかったのに
ほぼ無傷らしくてな(笑)
奇跡って言われたわ
Aも擦り傷だけなんやけど、
目の前で俺が轢かれたショックで
意識が飛んじゃったみたいなんや
渚も寝とるけど
Aのこと心配しとったから起きたら喜ぶで？」
そう言うと
近付いてくる紫耀の顔
紫耀はあたしの唇にキスをした
.
.
.
“ Aにある今までの俺の記憶を
全て違う人との思い出に替えてください。
Aのことを一番愛している人の記憶に。 ”
.
.
.
Ren
見知らぬストーカー男とか
満員電車のおっさんとか
そういう人やなくて
ほんまに良かった
紫耀、お前やったんやな
お前になら俺、
Aと渚を安心して託せるよ
お前の想いには
ほんまは高校んときから気付いてた
でも気付かないふりをしてた
ごめんな
でも、俺という存在は消えたから
Aにも、渚にも
そして紫耀にも
これからは俺の代わりに
二人のことたくさん愛してやって
ずっと守ってやって
Aのこと、渚のこと、頼んだで？
『本当にこれで良かったの？』
「良かったんや
俺の記憶ごと忘れんと
Aのことやからずっと自分を責め続けるやろ
そんなん
........俺が耐えられへん」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2040人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
えりんぎぷ−る - 一気に読んで、たくさん泣きました！推しでもないれんれんなのに、、、www天使っていう設定がまたまた良いですね。 (2020年7月1日 22時) (
レス) id: 2200018ee9 (このIDを非表示/違反報告)
miii(プロフ) - はじめまして。一気に読みました！切なくて涙が溢れましたが、最後はとても暖かくて本当作者様の表現が素晴らしいです。おつかれさまでした。 (2020年6月3日 7時) (レス) id: 461d11f3fb (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - すみません！2019年ではなく2020年です！！ (2020年3月30日 1時) (レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 続きです。まだまだ気になる部分は沢山ありますし、こんなにも切なくて愛おしいラブストーリーをお書きになった主様は最高な方です。ただ、一つ要望を言うとすれば、廉くんと再び巡り合うまでの出来事を読みたい。です。笑 長文失礼しました。 (2020年3月30日 1時) (レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 続きです。玄樹くんが更に80年天使を続けたのはきっと、渚ちゃんと汐音くんの成長を見届ける事と、廉くんが天使としての仕事を全うして生まれ変わって、主人公の女の子と再び巡り合うことを見届けたかったからではないかと考えています。続きます。 (2020年3月30日 1時) (レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：美雨 - miu -
| 作成日時：2016年1月1日 17時
