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そいつは俺の病室に来る度
内緒で縛られてる手を外してくれた
「ちょっとお手洗いに行ってくるね？」
いなくなった隙に
人目に触れないよう
病室を出るとエレベーターへと向かった
最上階で降りて
そこから繋がる懐かしい暗い階段を登り
重い鉄の扉を開ける
..........はぁ.....はぁ.....
ちょっと歩いただけなのに息が切れて
胸が痛くなった
体力も全然ない
野球で毎日走っていたあの日々は
もう二度と戻ってこないんだ
あの時は友達もいて
野球に明け暮れる毎日が楽しかったな
いつから俺は
こんなクズみたいな人間になった_______？
フェンスを乗り越えようと
柵に手を付いて両腕から全体重を持ち上げようと
飛び上がってみても力が入らなくて全然登れない
.........ここまで体力がないのか
自分の情けなさに笑えてくる
俺は自分で自分の命を絶つことさえも出来ないの？
「玄樹くん！！！！！」
声の方を見ると
青い顔をしたそいつがこちらに向かって走ってくる
そのまま俺は抱きしめられた
温かい体温
甘いシャンプーの香り
どくん
どくん
「......良かった
本当に....良かった........」
何度も何度も言うそいつは
“ 離せよ ”
俺が離れようとしても
“ やだ ” って言って離してくれない
人に抱き締められたのなんてほんと何年ぶり？
やっとのことで離れるとそいつは泣き出した
今までどんなに酷いことを言っても
泣かなかったそいつが見せる初めての涙
「どうしてこんなことしたの？
........どうして....？....っ....」
玄樹「生きてても意味が無いから」
「........玄樹くんがいなくなっちゃったら
みんな悲しむよ」
玄樹「ははっ
そんなのありえないよ
俺は嫌われ者なの
あんたもよく知ってるでしょ？
親にだって愛されてない
そんなんで生きてる意味ないでしょ？
どうせ死ぬんだし
俺の命は俺の勝手だよ？」
バシッ
叩かれた頬がじんじんと痛む
「子どもが死ぬのが悲しくない親なんて
愛してない親なんていない
玄樹くんのご両親もきっと
玄樹くんのことがショックで
きっとおかしくなっちゃっただけ
最初からそうだったわけじゃないでしょ？」
昔のことを思い出す
父さんと母さん弟と俺
毎日幸せだった食卓
誕生日の思い出
家族で行った旅行
目の奥が熱くなってくる
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えりんぎぷ−る - 一気に読んで、たくさん泣きました！推しでもないれんれんなのに、、、www天使っていう設定がまたまた良いですね。 (2020年7月1日 22時) (
レス) id: 2200018ee9 (このIDを非表示/違反報告)
miii(プロフ) - はじめまして。一気に読みました！切なくて涙が溢れましたが、最後はとても暖かくて本当作者様の表現が素晴らしいです。おつかれさまでした。 (2020年6月3日 7時) (レス) id: 461d11f3fb (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - すみません！2019年ではなく2020年です！！ (2020年3月30日 1時) (レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 続きです。まだまだ気になる部分は沢山ありますし、こんなにも切なくて愛おしいラブストーリーをお書きになった主様は最高な方です。ただ、一つ要望を言うとすれば、廉くんと再び巡り合うまでの出来事を読みたい。です。笑 長文失礼しました。 (2020年3月30日 1時) (レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 続きです。玄樹くんが更に80年天使を続けたのはきっと、渚ちゃんと汐音くんの成長を見届ける事と、廉くんが天使としての仕事を全うして生まれ変わって、主人公の女の子と再び巡り合うことを見届けたかったからではないかと考えています。続きます。 (2020年3月30日 1時) (レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：美雨 - miu -
| 作成日時：2016年1月1日 17時
