第28講 ページ29
そのまま時が止まったかのように3秒ほど過ぎた。
…だめだ、この沈黙耐えられない…！
「あの「今清掃員さんにその事を伝えたところだよ。本当はL5階段でしょ？」
私が言葉を発した瞬間遮るようにして天さんが話し始めた。
というか、それは大嘘…
もう…もう早く戻った方がいいやつだ、これ。事がこれ以上こじれるのはいやだ。
＿＿＿そう思って、L5階段へ向かって半ば逃げるように足を進めようとした瞬間。
「っ…！」
一織くんは今までにない強い力で私の手首をつかみ、天さんから遠ざけるようにして私を一織くんの後ろまでグイッと引っ張った。
「…」
一織くんは黙って天さんを見つめている。私の手首には未だ皮膚が白くなるほどの力が込められている。…そして、顔を見なくてもわかる。
一織くん、すごく怒ってる。
不用心な私に対して？天さんに対して？わからないけど…痛いくらいに込められた力と彼の後ろ姿がただならぬ雰囲気をまとっていることは事実だった。
「…何」
天さんも、眉をひそめてとても不愉快そうな顔をしていた。
「……言いたいことがあるなら言えばいいじゃない。」
冷たく言い放つ天さんの言葉が終わるのさえ待たず、一織くんは私の手首を引き、黙ってL5階段の方へ歩き出す。
「あっちょ…すみませんでした…！」
あまりにも勢い強く手を引かれるから、私は天さんにろくな挨拶さえ出来なかった。
････････････････････････････････････
「…さん、和泉さん！！」
「…っはい！なんですか…？」
「ったくも〜、とぼけないでよ！今インカムでリーダーが終礼始めるって言ってたじゃない！すぐ会議室に移動しないと！」
はっ…そんなこと言ってたのか。というか、私が上の空だったのか。
私に親切にも(雰囲気はちょっと怖かったが)終礼の集合がかかったことを教えてくれたおばさんはすぐに会議室へ向かってしまった。
私もゴム手袋を外しつつ、小走りで向かう。
＿＿＿＿あの後。
手を引かれているとき、立ち入り禁止の場所から出るとき、私が仕事に戻るとき…一織くんは何も言わなかった。
どうしたというのか。
…一織くんは、私がずっとTRIGGERのファンだったことを知ってる。
仕方ないとはいえ、私は自ら天さんのもとへ残った。
そして、あの至近距離を見られた。
……やっぱりこの状況は気分、良くない、のかな…
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アイリス(プロフ) - 毎話コメントはしていないのですが通知が来る飛んでいくんですよ😂時間があれば読み返したりして何度も楽しませてもらっています！こちらこそいつも素敵な物語をありがとうございます🙇 (2022年3月6日 22時) (
レス) @page32 id: 01923abc00 (このIDを非表示/違反報告)
なたね(プロフ) - アイリスさん» アイリスさん！😳ご無沙汰しております😢そうですね、2人の心と天くんの心に注目して見守って頂ければと…😌今日の夜また更新予定なのでぜひまたよければ覗きに来てくださいね☺️いつも本当にありがとうございます！<(_ _*)> (2022年3月3日 11時) (レス) id: 1ba5a28d82 (このIDを非表示/違反報告)
アイリス(プロフ) - こんにちは！これからどうなるんだろう…！とドキドキしました😳だけど2人の心が離れることはないと思うので、嫉妬かわいい〜と楽観的に読ませて頂きます😂 (2022年3月2日 22時) (レス) @page29 id: 01923abc00 (このIDを非表示/違反報告)
なたね(プロフ) - monaさん» 更新するする詐欺になってしまっているのですが🥲2月半ば以降は繁忙期から解放されるのでガンガン更新していきます🙇♀️それまで宜しければお待ちください☺️コメが届いたので飛んできましたが、嬉しいお言葉有難うございました…!! (2022年1月28日 3時) (レス) id: 1ba5a28d82 (このIDを非表示/違反報告)
なたね(プロフ) - monaさん» monaさんコメントありがとうございます！なんて嬉しいお言葉でしょう🥲一織の口調や行動はかなり気をつけているので、そう言って頂き安心致しました…！アイナナ愛、感じてください…！☺️最近全然覗けてなくて(続きます💦) (2022年1月28日 3時) (レス) id: 1ba5a28d82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なたね | 作成日時：2021年4月29日 0時
