第三章『アリス・イン・ザ・ガーデン』【2】 ページ27
すると、教室で一度目にした――――――小さな王冠の飾りに、赤と白の背面装飾に彩られたアンティーク風の椅子が御園の背後に出現し、
「はぁ・・・疲れた。少し待て・・・」
「また、そのイスっ・・・どこから出した!? つーかまだ車降りて5分も経ってねーよ!!」
その椅子に腰掛けると、また頬杖をつきながら、ふ―――――と息を吐き出し、呼吸を整えた御園に、訳が分からないと言った様子で、真昼が突っ込みをいれる。
<・・・御園は少々体が弱いんですよ。城田真昼くん>
と―――――ふいに、ふふ、という笑い声とともに声が聴こえてきた。
その声の主の姿を探して真昼は周囲に視線を彷徨わせると、ふと、御園の頭に視線を止め、眉を顰める。
「・・・・・え? 何それ・・・?」
ひらひらと、揺れながら御園の頭にとまっているそれ―――――黒い縁取りに、中心はピンク色。一見すると『リボン』に見えるがあれは・・・・・。
瑠璃もまた、御園の頭に視線を向けると、その存在に気づき、目を瞬かせると、思わずクスッと笑みを零してしまう。
「・・・? 何を見て―――・・・」
二人の視線を受けて、御園は怪訝そうに眉を顰める。
しかし、ふいに、はっとした表情を浮かべると、
「髪にとまるなといつも言ってるだろうが!! リリイ!!」
顔を赤らめながら、ばっと左手を振り上げ、そう叫んだのだ。
それにより御園の髪から離れていったその姿を見て「あっ蝶・・・!!」と真昼が納得した様子で声を上げたのだが―――――。
次の瞬間、ひらっと羽根を広げて飛んでいた蝶の姿はその場から消え、ふわぁと宙を舞うように現れたのは、ほぼ衣服を脱衣した状態の男の姿―――――。
「・・・はじめまして。よければひと肌脱ぎましょう・・・かっ」
それを見た真昼は、目を見開き、ドン引してしまう。
一方、蝶の姿でいたリリイの姿が消えた時点で、察しが付いてしまった瑠璃は、咄嗟に真昼の背後に隠れたのだが―――――。
それと同時に、真昼の肩の上から下りたスリーピーアッシュが、ポフと云う音とともに人型に戻ると、瑠璃の目を両手で覆ったのだ。
そして、当事者であるリリイはといえば、「脱ぐな変態!! キモイんだよ!!」と目を吊り上げ、怒号した御園から、先日対面した時と同じように、本を頭部に投げつけられていた。
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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2017年5月22日 18時