第二章『蝶と椿』【3】 ページ12
それから労るように身体を撫でると、にゃ――――――と気持ちよさそうに目を伏せた黒猫は、「そもそも契約なんてしたのが間違いだったんだ・・・オレは何もしたくねーのに・・・」と、言葉を漏らしたのだ。
それを聞いた真昼は、先程、椿と対峙した時の出来事を思い返す。
『僕が面白ければどうだっていいよ』
そう言った椿に、真昼の言葉は届かず、唯一、向き合う手立てとして、名前を付けて血を飲ませるという方法を実行しようとしたが、それすらも阻まれてしまい、歯が立たなかった。
「俺達だけじゃ全然・・・止められそうになかったな」
ぼそ・・・と真昼が洩らした言葉に、黒猫がピクリと耳を動かす。
「でもほっとくわけにはいかないし・・・まずは他のサーヴァンプに会ってみたいな」
椿は追いかけようもないし・・・。1人は近くにいるみたいだし。
そう言った真昼に対して黒猫は「めんどくせ―――――・・・いやだ・・・向き合えね―――――・・・」と、瑠璃の膝の上で頭を抱えながら、微かに身体を震わせつつ、訴え出す。
「いいかげん現実と向き合え!!」
お前中心の話なの!! と、真昼は黒猫を一喝する。
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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2017年5月22日 18時