第一章『誓約と契約』【3】 ページ21
「同じ吸血鬼だろ!! お前しか向き合えねーよ!!」
「オレの知り合いじゃねーのは確かだ。オレとは関係ねー・・・」
スリーピーアッシュは、真昼から目線を逸らすとぽつりと言う。
腕の中に抱かれたままの瑠璃は、その横顔をじっと黙ったまま見つめる。
真紅の瞳の奥には、まるで何かを恐れているような感情が視えた気がした。
「友達がやられたんだ!! あいつ放っといたらみんな殺される。誰かが止めなきゃ・・・」
「めんどくせー・・・」
真昼は必死に訴えるが、しかしスリーピーアッシュは、さらに吐き捨てるように淡々と言う。
「『何も出来ねぇ』『自分には力なんかねぇ』『誰かどうにかしてくれ』『誰か』『誰か』・・・みんながそう言うんだからオレも
―――――直後、商店街のほうから瓦礫の砕け散る爆音と、あの手品師の喚き声が聞こえてきた。どうやら、意識を取り戻してしまったらしい。
「あァ〜〜〜〜〜!! ボクが目立ちたいのにィ〜〜〜〜〜〜!! どこ行ったァ!!」
ばたばたと両手を駄々っ子のように振り回した手品師は、瀕死の状態の龍征の傍に茫然と座り込んでいた虎雪の存在に気付くと、ふと、狂喜の笑みを浮かべた。
「・・・あ? それまだ生きてたァ? ボクを無視するからそォいうことになるんだよォ〜〜〜?」
―――――このままでは、二人は本当に殺されてしまう!!
スリーピーアッシュの言葉に、絶句していた真昼は、肩を震わせると叫んだ。
「じゃあ、お前だけ逃げろ!! 瑠璃姉まで、連れてこうとするな!!」
そうして踵を返すと路地裏から駆け出していく。
317人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マユ(プロフ) - ルルさん» とても嬉しいコメント、有難う御座います! 現在、最新シリーズでは原作の二巻をベースに執筆中な為。傲慢組や強欲組の登場はまだ先になってしまうと思うのですが・・・。私も彼らとの話は書きたいと思っているので・・・。気長にお付き合い頂けたら幸いです! (2018年4月27日 22時) (レス) id: 6997652f0b (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - すごく面白かったです!傲慢組や強欲組との絡みもどうなるか気になりました! (2018年4月27日 20時) (レス) id: f9398f263f (このIDを非表示/違反報告)
マユ(プロフ) - AAAさん» こちらこそ、ご丁寧に有難う御座います。 (2018年2月20日 23時) (レス) id: 6997652f0b (このIDを非表示/違反報告)
AAA - 返信ありがとうございます! (2018年2月20日 22時) (レス) id: ad871f5681 (このIDを非表示/違反報告)
マユ(プロフ) - AAAさん» AAAさん、コメント有難う御座います!面白いと仰って頂けてすごく嬉しいです! シリーズはパート4まで掲載中です♪続編を見るから、次のシリーズに飛べますのでどうぞよろしくお願い致します! (2018年1月15日 21時) (レス) id: 6997652f0b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2017年5月21日 21時