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電車の中から見える、自然豊かな風景。生憎、生まれも育ちも割と都心部寄りだったので、緑豊かな山々や、失礼かもしれないけど、田舎特有の空気が私にとってはかなり新鮮。


大きく深呼吸をする傍らで、深町くんと瑠衣子先輩が小競り合い(?)をしている。二人には仲良くなってもらいたいんだけどな。


道案内役は深町くんが担当してくれるみたいだし、私は気兼ねせずに植物採集やら地質調査やらに励めそう。キノコとか生えてないかな。


「早速出発しよっか!」
「あ、先生その道違います」


深町くんのスマホを横から覗きこめば、明らかに間違っている先生の行先。これなら市役所の人呼んでおいたほうがよかったのでは。前途多難すぎる、この調査…。





「うっ…怖、ねぇこの橋取れたりしないよね?私泳げないんだけど」
「あはは、そんなにヤワな作りじゃないみたいだよ?ほら」


あんな不安定な吊り橋の上でぴょんぴょんと楽しそうにする高槻先生。可愛いのだ、とても可愛いのだけれども理解ができない。下の川、勢い速いし落ちたら死ぬ、生きて帰れない。


先生も瑠衣子先輩もさくさく歩いていっちゃうので万が一のために深町くんの袖をお借りする。もうあまり抵抗も拒否もされなくなってきたのはいい兆候だと思う。個人的に。


「A先輩、怖がりすぎじゃないですか」
「水には、あまりいい思い出がないから…海とか、川とか。あんまり覚えてないけど、なんか怖いんだよね」


いつから水辺が怖くなったんだっけ、と辿れる限りの記憶を遡ってみたものの、心当たりのある記憶は一切ない。両親の死別前後は未だに記憶が曖昧で、やっぱりその頃のものなのかな。


目の前の三人は何やら先生の完全記憶能力と地図の関係性について談笑してるし…。しかも先生に至っては柵ですらない支えの紐に腰掛けちゃうし。なんでそんなに元気なの、私が老いてる?


そんな感じ!とかいいながら橋の上をかけていった高槻先生。申し訳ないけどすごい揺れるんだ、怖いこれ落ちないよね、大丈夫だよね?


「A先輩?大丈夫ですか?」
「大仏くん、『考えるな、感じろ』ってことよ!あはは!」
「うっ、先輩揺らさないで私が死ぬ…」


恐怖心からか、思わず深町くんの袖ではなくて腕を掴んでしまう。慌ててぱっと離せば、掴んでていいですよ、なんて返されてしまって。吊り橋効果というやつなのだろうか、深町くんにほんのちょっと、気持ちが揺らいだ、気がする。ほんとにちょっと。

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ちくわ。(プロフ) - かふぇもかさん» コメントありがとうございます!不定期更新なのでお話をコンスタントにお届けすることが難しいのですが、今後ともこの作品をよろしくお願いいたします! (2021年8月24日 20時) (レス) id: eb81f6bdc7 (このIDを非表示/違反報告)
かふぇもか(プロフ) - こんにちは^ - ^いつも楽しく読ませていただいてます!(?)このお話毎日読み返してニヤニヤしてます(( (2021年8月22日 18時) (レス) id: 586d3de0ac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちくわ。 | 作者ホームページ:https://twitter.com/pipipi__dream  
作成日時:2021年8月9日 0時

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