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煮付けと干物を半分にして先生とシェアする。久しぶりにご飯半分ずっこして食べた気がする。いつだっけ、こうやってご飯食べたの。
「美味し…、この世で食べた和食の中で過去一ですこれ」
「柊さんが喜んでくれたなら何より」
にっこり笑ってまたご飯を食べ始める高槻先生。ファンサの供給過多でしかない。圧倒的幸せすぎる。もぐもぐしてる先生可愛いの塊だし、美味しそうにご飯を食べる人好きなのかもしれない。というか先生だからもう好き。
「あっそうだ、事件の真相。あくまでもこの先の未来が大きく変わらなければの話なんですけど。今回の事件、呪いとかじゃなくて、綾音さん自身が仕組んだみたいで」
家庭環境のこと、自分を犠牲にしてまで支えてくれる姉のこと、周りがとても恵まれていてどうしようもなかったこと。私自身の言葉ではないのに、なぜかずしりと胸に重くのしかかる。だからといって誰も悪くないなんて綺麗事は言わない。
「そっかぁ…。やっぱり本人なんだね」
「はい、恐らく。少なくとも、今日のあれは綾音さん本人の自作自演なのは事実です」
過去のものはわからないけれど、琴子さんの言っていた藁人形のはなしも、綾音さん自身が仕向けたことだと思う。でもまだ確証が得られないから引き続き明日も調査を続けるって言われた。
「あれ、柊さんってもうお酒飲めるんだっけ?」
お手洗いから戻ってきた高槻先生に聞かれた。残念ながらまだ未成年なのでお酒はおあずけ。コンパだとか表面上の付き合いの場でも周りは飲めるのに、未だにノンアル。早く飲めたらいいのに。
「まだです、もうちょっとしたら飲めます。…もしかして今日飲む前提で来てました?」
「あはは、流石にデートでお酒は飲めないよ」
女の子酔わせるの僕の趣味じゃないしね、と軽く微笑む高槻先生。酔わせてお持ち帰りする先輩とかいるから気をつけてねとも言っていた。酒は飲んでも飲まれるなってことかな。
「そういえばお支払い、いくらですか?」
「柊さん学生なんだし気にしないでいいよ。仮にも予定上はデートだったんだし、今日は僕にカッコつけさせて?」
ね?と小首を傾げてお願いする高槻先生。好きすぎる。圧倒的好き。かわいいしスマートで素敵、かっこいい。これが大人…。ひぇ…。
「ありがとうございます、いつかお礼させてください」
いーのに、と笑ってお店を出る先生。いつか研究室に有名ブランドのケーキ献上しよう。じゃないと割に合わない。
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ちくわ。(プロフ) - かふぇもかさん» コメントありがとうございます!不定期更新なのでお話をコンスタントにお届けすることが難しいのですが、今後ともこの作品をよろしくお願いいたします! (2021年8月24日 20時) (レス) id: eb81f6bdc7 (このIDを非表示/違反報告)
かふぇもか(プロフ) - こんにちは^ - ^いつも楽しく読ませていただいてます!(?)このお話毎日読み返してニヤニヤしてます(( (2021年8月22日 18時) (レス) id: 586d3de0ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちくわ。 | 作者ホームページ:https://twitter.com/pipipi__dream
作成日時:2021年8月9日 0時