繋ぐ~心に傷を負ったこどもたち~

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渡辺side




施設に着くと、
もう既に、茶色い髪をなびかせた男の人が立っていた




『 こんにちは、渡辺しょうたです。 』

室｢ よう来てくれたなぁ。施設長の室龍太です ｣





訛りの入った施設長の室龍太さんは、面接の時にも会ったけど本当に優しそうな人だ。





室｢ こんな外で申し訳あらへんけど、中に入ると子供たちおるからなぁ。まずは軽く説明するから、ここさ座ってぇや ｣


『 はい、失礼します 』





建物の外にある小さめのベンチに座ると、早速説明が始まった。


龍太さんは、じーっと俺の顔を見つめた後に
にこりと笑みを浮かべ、





室｢ ほな、テストや ｣

『 えっえ、あ、はい！ 』





何を言い始めるかと思ったら、どうやらテストをさるらしい。


沢山勉強してきたから知識には自信あるけど、少し緊張するな…





室｢ 児童養護施設とは、どのような施設でしょう？ ｣


『 ……何らかの事情で親と一緒に暮らせなかった子供たちを保護し、自立して社会でやっていけるように育てる場所です。 』


室｢ 流石、優秀やな。ほなこれは？……施設では具体的に、どのような取り組みをしますか？ ｣





取り組みかぁ





『 子供たちの生活援助や心のケア、勉強などの学習援助。社会的な取り組みとしては、ボランティアの人達との交流会やスポーツイベントの開催。

そして、｢ 新しい家族を見つけるために里親募集を行う ｣。あとは、 』




室｢ …それや。 ｣

『 え…？ 』





俺の言葉をさえぎって、少し悲しげな表情を浮かべる龍太さん。





室｢ ……ここの子供たちは、里親の元に行くことは出来ないんよ。 ｣

『 え…… 』





里親の元に行けない？一体どういうこと…？

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