繋ぐ~心に傷を負ったこどもたち~

＊ ページ39

村上side




｢ ラウールくん、じゃあ車に乗ろうか。
体調は大丈夫？ ｣

『 …大丈夫です。 』




しょうたくんと会えない日が続き3週間。

僕はしょうたくんとの日々を思い出していた。



初めて出会ったあの日。


あの日に僕は、今までの生活が当たり前じゃないってことを知った。


あの日から、沢山の愛情をもらったなぁ…


初めての体験も、いっぱいした。


ショッピングモールにも行ったなぁ

しょうたくんが買ってくれたTシャツ。
僕あれ結構気に入ってるんだよね。笑


あ、そうそう。お勉強もしたっけ
樹くんの教え方も上手だったなぁ。



僕の名前のことで、喧嘩もした。
結局僕の名前は、どうなるのかな…？



耐えることも無く流れてくるしょうたくんとの記憶に

涙が溢れそうになる。





……もう一度、しょうたくんに会いたい。




だけど…




どんなに願っても、もう会えないんだよね…





・





僕を乗せた軽自動車は、山道をどんどん進んでいく。





｢ これから、“ 雪花園 ”っていう所に行くからね。
お友達もいっぱいいるよ〜 ｣





優しそうなこのお兄さんは、雪花園の施設長さんなんだって。



雪花園とは言うものの、僕が今向かっているのは

山奥にある雪花園の別館。



6人の｢ 特別 ｣な子達が暮らす施設で、僕がその7人目の子になるらしい。


｢ 特別 ｣ねぇ…
この｢ 特別 ｣は、いい意味なのかな…？



どんな子が居るかは分からないけど、きっと何かしらの原因で｢ 大きすぎる傷 ｣を負った子達ばかりだろう。





『 僕は… 』





ママとの、そしてしょうたくんとの思い出が詰まったキーホルダーをリュックから外して手に取る。




『 僕は｢ 特別な子 ｣なんだね。 』





雪だるま、が悲しい表情に見えたのは

…気の所為だろうか。

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