繋ぐ~心に傷を負ったこどもたち~

新たな1歩、あの日の記憶 ページ14

渡辺side





村｢ ダメだよ！僕部屋から出ちゃいけないの！ ｣

『 いいから 』

村｢ ダメ！ママとの約束守るの！ ｣





村上くんのお母さん。

…どうして貴方はこんなに純粋で優しい子を放置したりなんてするのですか？


何で幸せにしてくれないのですか？






『 ねぇ村上くん聞いて。君のお母さんはね、悪い人なの。 』

村｢ ママは悪い人なんかじゃ…！ ｣

『 普通じゃないの。 』

村｢ …ふつう、？ ｣





こんなこと言っていいのか分からないけど…

村上くんを救うためなら。今の俺に迷いは無い。





『 そう。普通じゃないの。
本来なら君は、幸せにならなきゃいけない。こんな
人生じゃない、もっと素晴らしい人生を歩まなくち
ゃいけないの。』


村｢ しあわせ…… ｣


『 そう、しあわせ。俺だったら、村上くんを置いて
いったりしない。村上くんを悲しませたりなんてし
ないよ 』


村｢ … ｣


『 最終的な判断は君に任せる。だけど、これだけは
言っておくね。村上くんは、俺が絶対に幸せにす
る、約束する。…うちに来ない？ 』







この子を救いたい、そんな思いから言葉が止まることなく全部でてきた。



下を向いて黙っている村上くん。

そりゃ困るわなぁ、急に知らない人が家にあがりこんで｢ 家に来い ｣だなんて。



だけど、俺の決意は変わらないよ







『 また、来るから 』





そう言って、放り投げたゴミ袋を再び手に拾い、部屋を後にし＿＿＿









村｢ …行、く。 ｣


『 え…？ 』









消えかかりそうな、でも意志を固めてはっきりとした声に思わず足が止まる。









村｢ 僕、しょうたくんの家、行きたい。 ｣

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