繋ぐ~心に傷を負ったこどもたち~

＊ ページ13

渡辺side





村｢ 僕の名前は｢ おいお前 ｣だよ！ ｣





そういう彼は、何故こんなに笑顔なんだろうか





『 それは名前じゃない、名前じゃないよ… 』

村｢ え？だってママ、僕のこと呼ぶ時いつもそう言う
よ？ ｣





……もう耐えられない。

今にも母親への怒りでどうにかなりそうだ。

いや、こんな最低な人 母親だなんて言いたくない。






村｢ パパは僕のこと違う名前で呼んでた気がするけ
ど…何だっけなぁ？ ｣






村上くんのお父さん。

まさか…





村｢ パパは今、｢ おでかけ ｣してるの！ ｣

『 おでかけ…？ 』

村｢ そう！その時のことはあんまり覚えてないんだけ
ど…そのくらい小さかった時にね、
パパが大きな荷物抱えておでかけしに行ったの。 ｣



・



村｢ でもまだ帰ってきてないんだよね〜。いつ帰って
くるのかなぁ？｣





…やっぱり。
村上くんのお父さんは、村上くんの世話を全部母親に押し付けて家を出ていったんだろう。

そんなこと、村上くんには言えないけど…






村｢ その時からかなぁ、ママが僕に口聞いてくれなく
なったのは… ｣






……許せない。
村上くんをこんなに洗脳して、自分だけ幸せになろうなんて、この俺が絶対に許さない。




樹の言葉が頭を駆け巡った

＿＿＿お前が思った通りにやればいいんだよ＿＿＿




俺は、持っていたビニール袋を放り投げて、
村上くんの目をしっかり見てはっきりと言った。






きっとこれが、




正しいと信じて。








『 ねぇ村上くん。うちに来て。』

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