22 Ai.H said ページ22
すぐには思い出せずにいると、ソファで寝ていた彼が目を開けた。熱を出して寝込んでいたらしく、少し声が掠れている。
博士から受け取った水を1口飲むと彼は私を見て言った。_____志保姉、と。
あぁ、思い出した。昔、お姉ちゃんと遊びに行くのを許してもらって、2人で買い物をしてた時。確かにお姉ちゃんが17歳で私が10歳だった頃。今からもう8年も前。
「あれ、明美ちゃん?そっちは妹さんかな?」
「あ!_____さん!お久しぶりです!」
顔を隠すようにマスクとメガネをかけた男性とサングラスをかけた女性、彼らに連れられた私と同い年くらいの男の子。明るい色の髪がふわふわしていて人懐っこい笑顔でもこちらを見ていた。頬に残る傷跡が痛々しい。彼は何を思ったか私の所へ駆けてきた。
「僕!来栖零哉!9歳!君の名前は?」
「…宮野志保。10歳よ。」
「じゃあ1個上だね!志保姉だ!」
私は末っ子だし、組織内でも私より年下の人間は居ない。姉と呼ばれるのは新鮮で、少し嬉しかった。穢れを知らない彼の笑顔が、私には眩しすぎた。私はもう、真っ黒に染まりきってしまっているから。
「ねぇねぇ!僕志保姉のこと好き!だって美人さんだもん!だからね?僕のお姉ちゃんになって!」
「え……」
「こら!零哉!も〜、ごめんね志保ちゃん、この子ったら女の子大好きで……可愛い子見つけるといっつもこうなのよ。」
いきなりの爆弾発言にぽかんとしてしまった。そんな私を物珍しそうに見ているお姉ちゃん。でも直ぐにいつもの優しい笑顔で今度は零哉の頭を撫でながら話しかけた。
「ねぇ、零哉君。志保のこと好き?」
「うん!かわいいもん!」
「じゃあ、零哉君。お姉ちゃんと約束して欲しいな?」
「約束?」
「そう。強くなって志保のこと守ってあげて?
お願いね?」
その後は5人でショッピングをした。彼には兄がいるらしく、今は東都大学の法学部に通っているらしい。光の中を行く人達なんだとやっぱり思った。
その日、私と零哉は沢山話して大分打ち解けた。でもきっと、もう会うことは無い。だからただの思い出として心に仕舞っておこう。
「姉と呼んでくれてありがとう、零哉。バイバイ。」
「志保姉!バイバイじゃないよ!僕は志保姉を守るナイトになって必ず助けるから!また会えるよ!だから、またねって言って!」
真っ直ぐな目で見つめられてありもしない希望に賭けてみたいと思った。だから__
「うん。またね。」
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湊(プロフ) - 救済する方に一票お願いします (2020年6月20日 21時) (レス) id: ef148efd04 (このIDを非表示/違反報告)
沙耶 - 救済する方がいいです! (2020年6月20日 19時) (レス) id: 36101ccc47 (このIDを非表示/違反報告)
月影 晃(プロフ) - ゆいきさん» コメントありがとうございます!投稿ゆっくりになりますが、救済ルートで書いていきたいと思います!気長にお待ちください! (2020年6月20日 18時) (レス) id: 0889d36c4a (このIDを非表示/違反報告)
ゆいき(プロフ) - 警察学校組全員救済 (2020年6月20日 18時) (レス) id: e371e3bfbd (このIDを非表示/違反報告)
月影 晃(プロフ) - といしさん» 絵心ないのでメーカーで使ってます (2020年5月17日 10時) (レス) id: 0889d36c4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月影 晃 | 作成日時:2020年3月23日 22時