28錠目:『睡魔と懐古と角瓶パープル』 ページ27
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｢着いた。ここの16階ね｣
｢ガチ高級マンションだ...｣
｢もう、そんなことないってば!!｣
荷物を持とうとしたが客人にそんなことはさせられないと一蹴され、Aはオートロックを開錠した。
｢何も無い...いや、物が有りすぎて大変見苦しい部屋ですが｣
｢めっちゃ綺麗じゃねえか...｣
ふわりと鼻を擽るこの匂いは、一昨日俺がAに頼まれて焚いたアロマラベンダーと同じものだ、多分。
｢......これって｣
俺の視線の先にあったのは、洒落たフラップタイプの本棚に置かれたフォトフレームだった。
写真の中には最高に無垢で無邪気で、純粋な笑顔をカメラに向けたサッカー部の集合写真。背景から察するに、これは夏合宿の時のだろう。
｢ちょっ、あんまり見ないで!!｣
テーブルに2つのカップを置き、目線を上げたAは俺がそれを凝視していることに気が付き慌てて写真を伏せた。
｢...俺もこの写真、実家に飾ってある｣
｢ふふ、やっぱり?...大学も楽しかったけど、私の原点はサッカー部なんだよね｣
渡された胃腸薬を飲み、息を吐きながら座った。
コイルスプリングが内蔵されたソファにはリクライニング機能が付いており、驚く程に座り心地が良い。
｢水はそこのウォーターサーバー使って...あぁ、お湯も出るからお茶は適当に作っていいよ｣
｢......ほんとにありがとな｣
｢ん、どういたしまして｣
掛けられたブランケットの全面クマゾウ柄に少し笑いながらも、疲れと安心で俺の意識は直ぐに落ちた。
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何か、夢を見ていた気がする。
酷く胸を締め付けられる様な、後味悪い内容の＿
｢A、寝てねえのか...?｣
｢“...大事なチームメイトの貴方を残して、うかうか寝てられない”でしょ?｣
体を起こし左を向くとAが数日前の夜、俺が言った言葉を倣うように答えた。
｢ってのは半分冗談で、単純に眠れなかっただけだよ｣
｢....んで、何やってるんだソレ?｣
｢これ? ハーバリウムだよ、お店に飾ろうと思って｣
｢はーばりうむ?｣
間の抜けた俺の声にAは細長い瓶を眺めながらプリザードフラワーだとか専用オイルを入れるだとかを話し始めた。
寝起きの脳に横文字を理解する能力は乏しく、Aは察したように解説を止めた。
｢見て、これ折緒っぽい!!｣
｢...俺っぽい、か?｣
｢うん!! 濃い紫と薄紫!!｣
目の前に突き出された瓶の中にはふわりと揺れる植物が神秘的に閉じ込められており、首丈にはタッセルが掛けられている。
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29錠目:『続・知らなくてはならないこと』→←27錠目:『能あるオリオンは爪を磨く』
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星猫 - もう一つのｐｃがしました。初めまして！とっても素敵です！高評価しました！ (2021年9月8日 11時) (
レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
棘水(プロフ) - ゆりりんさん» わ〜!! 勢いある挨拶ありがとうございます〜^^ ちまちま更新していきますので気長にお待ち頂けると幸いです (2021年2月2日 1時) (レス) id: f96d68692e (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - まず最初に…好き!!（挨拶）続きが読みたくてたまらないです！ (2021年2月1日 20時) (レス) id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
アインツバル - 棘水さん» 了解です！また何かあったら声掛けますんで、これからも更新頑張って下さい！！ (2019年4月9日 15時) (レス) id: db0b681609 (このIDを非表示/違反報告)
棘水(プロフ) - アインツバルさん» コメントありがとうございます!! が、合作イベント....!!大変魅力的で参加したい気持ちは山々なのですが私生活の多忙や内容が合作内容が全く分からず他の皆様にご迷惑をかける可能性しかないので今回は辞退させて頂きたく思います....また機会がありましたら是非....!! (2019年4月8日 22時) (レス) id: c7cb6e701d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：棘水 | 作成日時：2018年7月20日 13時
