3錠目:『自問自答→横隔膜』 ページ3
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｢え…A?」
｢そう!! 貴方の!! マネージャだった人です!! でも今は!! そんなこと言ってる!! 場合じゃ...、ッない!!」
激怒しているような、今にも泣きそうな表情が混ざっている彼女が、力一杯俺の右手を引いていた。
こんなにも身長差があるのに俺を支えているとなると、相当な力を出しているんだと思う。
それでも、強く掴まれている感覚は殆ど感じない。
物凄い速さで通り過ぎて行く電車が、俺を嘲笑する。
何事もなかったように黄線より一歩内側に立ち、大きく呼吸をするAを霞んだ視界の中で見つめる。
｢本当に佐曽塚、よね?」
｢......う、ん」
なんでここにいるの、と聞きたいのに声が出ない。
確かに口は動かしてるはずなのに。視界がゆらゆらと揺れる。
そんな俺を見てAは更に動揺しているみたいだ。
こんな状態だとキャプテンに怒られてしまう.....もうあまり、姿も名前も思い出せないけれど。
｢お腹は空いてる? 何か食べたいものはない?」
ホームの古びた椅子に座らされ、俺は首を横に振る。
さっき無味サンドイッチを食べたし、これ以上何かを食べたくもなかった。
｢もう、本当に本当......、本当にさ〜......」
｢(本当、しか言ってないなあ)」
中学生の時点で他の女子よりも大人びていた彼女は、10年近く経ってさらに綺麗になっていた。
艶のある髪を紺色の髪留めで纏めて、ロングスカートが良く似合っている。
｢喉乾いてない? 大丈夫?」
俺は、首を縦に振った。
彼女はさっきより少し安心したように頷いて、それでも半分泣きそうになりながら俺に笑いかけた。
うん、中学生の時からこの笑顔は変わらない。俺の一番好きな表情だ。
｢立てる? 大丈夫?｣
｢ん...｣
今度は優しく右手を握られ次便の電車に乗り、俺達は駅を出た。
騒がしい道路沿いを抜けると、途端に道は静かになった。
酔っ払って騒ぎ立てる人も、だらし無く道端にうずくまる人も居らず、いつも俺が生活する街とは違って随分と綺麗に見えた。
｢ん、着いた。入って｣
暖かみのある電気の点いた、木造建てのお洒落な建物に案内される。
出入り口はカーテンで仕切られており、それを捲ると、外装に合わせて統一されたインテリアや小物が並んでいた。
｢じゃじゃ〜ん!! ここは高いテナント料を乗り越えて借りた私の経営する喫茶店なのです!!｣
キラキラとした表情で両手を上げるA。まだ準備中で、営業はしていないらしい。
うん、コーヒーのいい匂いがする。
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4錠目:『ほろ酔いとロゼワイン』→←2錠目:『痛いの痛いの飛んでかない』
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星猫 - もう一つのｐｃがしました。初めまして！とっても素敵です！高評価しました！ (2021年9月8日 11時) (
レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
棘水(プロフ) - ゆりりんさん» わ〜!! 勢いある挨拶ありがとうございます〜^^ ちまちま更新していきますので気長にお待ち頂けると幸いです (2021年2月2日 1時) (レス) id: f96d68692e (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - まず最初に…好き!!（挨拶）続きが読みたくてたまらないです！ (2021年2月1日 20時) (レス) id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
アインツバル - 棘水さん» 了解です！また何かあったら声掛けますんで、これからも更新頑張って下さい！！ (2019年4月9日 15時) (レス) id: db0b681609 (このIDを非表示/違反報告)
棘水(プロフ) - アインツバルさん» コメントありがとうございます!! が、合作イベント....!!大変魅力的で参加したい気持ちは山々なのですが私生活の多忙や内容が合作内容が全く分からず他の皆様にご迷惑をかける可能性しかないので今回は辞退させて頂きたく思います....また機会がありましたら是非....!! (2019年4月8日 22時) (レス) id: c7cb6e701d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：棘水 | 作成日時：2018年7月20日 13時
