14錠目:『君の心に俺は居ますか』 ページ13
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どことなく表情の曇っているAに折緒は違和感を覚えた。
｢いただ...き、ます｣
｢...A?｣
目の前に水神矢が居るというのに何の反応を示さない佐曽塚に対し、意味も無く彼女の名前を呼んでしまった。
戻りが遅かったことに、何か関係しているのかも知れない。
｢美味しい!! 俺、Aと折緒の作った料理なら、味、わかるよ!!｣
｢そう…なら、よかった｣
依然としてAの表情は暗い。
横に座る水神矢を見ると職業病の顕れか、佐曽塚の動作の全要素を分析するように彼を見つめていた。
｢ごちそーさまっ｣
暫くして全員が食事を終えた。
佐曽塚は目の前に座る水神矢に対してまるで視界に入っていないような振る舞いをするし、Aの表情もぎこちない。
律儀にも佐曽塚は食器を台所へと戻しに席を立った。
｢すまない、電話だ｣
それに倣うように水神矢も一時的に部屋を後にする。
実質この空間には俺と彼女しか居ない。
沈黙に耐えきれず、浮かない顔をしたAに声をかける。
｢A、なんかあっt｣
｢どうしよう、折緒...!!｣
言葉を遮り、涙目で俺の両肩を掴むA。
｢....私が思っているより佐曽塚、重症かもしれない｣
｢はあ?まだ診てもらってもねーのに、なんでそんなこと言えんだよ｣
焦りと怯えで震えるAの両腕をそっと掴んで距離を置いた。
分かっているつもりではいたが、彼女の腕は細く白く、力を入れればすぐに壊れてしまいそうだ。
｢...この腕で、佐曽塚を守ったんだよな｣
｢......折緒?｣
｢大丈夫、ゆっくり話してみ?｣
綺麗な瞳に溜まった涙が今にも零れ落ちそうな中、彼女はゆっくりと深呼吸をした。
その動作で伝った涙をそっと親指で拭う。
｢(あれ、俺の指先震えてる…)｣
今更自覚した彼女との距離感に、一気に脈が早くなるのを感じた。
｢佐曽塚が.....｣
それでもAの視界に俺は映らないんだなあ、なんて冷静な判断をしていた。
自身がどれほど狡くて小賢しい感情に取り巻かれている自覚は二十分にあった。
｢佐曽塚、多分…水神矢のこと、忘れてる｣
｢……は?｣
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｢...水神矢を見ても反応無し、か｣
｢普通、十年前のチームメイトが目の前に居たら気が付くでしょ? 現に、私や折緒ことは認識してたんだし.....｣
ため息を吐くと同時にAの柔らかな髪が揺れた。
彼女がこんなにも切羽詰まっているというのに、そんな姿まで綺麗だと感じてしまう俺は、己に程々呆れていた。
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星猫 - もう一つのｐｃがしました。初めまして！とっても素敵です！高評価しました！ (2021年9月8日 11時) (
レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
棘水(プロフ) - ゆりりんさん» わ〜!! 勢いある挨拶ありがとうございます〜^^ ちまちま更新していきますので気長にお待ち頂けると幸いです (2021年2月2日 1時) (レス) id: f96d68692e (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - まず最初に…好き!!（挨拶）続きが読みたくてたまらないです！ (2021年2月1日 20時) (レス) id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
アインツバル - 棘水さん» 了解です！また何かあったら声掛けますんで、これからも更新頑張って下さい！！ (2019年4月9日 15時) (レス) id: db0b681609 (このIDを非表示/違反報告)
棘水(プロフ) - アインツバルさん» コメントありがとうございます!! が、合作イベント....!!大変魅力的で参加したい気持ちは山々なのですが私生活の多忙や内容が合作内容が全く分からず他の皆様にご迷惑をかける可能性しかないので今回は辞退させて頂きたく思います....また機会がありましたら是非....!! (2019年4月8日 22時) (レス) id: c7cb6e701d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：棘水 | 作成日時：2018年7月20日 13時
