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あの子と出会ったのは高二の春
とても可愛らしい子だなって印象だった
とくに深い付き合いはなかったけど、同じクラスメイトとして仲は良かったと思う
それに当時、茉由ちゃんと岩田先輩が付き合ったことを知ったときには、私はもう振られていた
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先輩が一途なことは高校時代に散々思い知って
噂で聞いただけだったけど、私達が入学した頃から先輩はずっと、一年生の茉由ちゃんが気になってたらしい
一年越しの片想いが実って、茉由ちゃんと付き合っていた先輩はキラキラしていて…それこそかっこよかった
結局ふたりがいつ別れたか正確には知らないけれど、振られたのは先輩のほう
そりゃそうだよね。だってあんなに好きって、必死だったのはいつも先輩だったから
先輩が好きなのは
昔も今も「茉由ちゃん」だけ
だから私は、彼女の代わりじゃなくて
茉由ちゃんの代わり
茉由ちゃんと隼が付き合ったのも知ってて、
隼は私の幼馴染みだし
どうにか繋がれるとでも思ったのだろうか
どこまでも堕ちてゆく
気付いてしまった真実に
もう引き返せない関係に
何処か呆れた感情を抱いた
なんで気づかなかったかなぁ
少しでも期待していた自分が馬鹿だった
いつか…先輩の言う通りに従っていれば目を向けてくれる時が来るんじゃないか
彼女と上手くいってないからこうやって遊びに逃げて、でも、いつか本気になってくれるんじゃないか
今もこうして私の頬に触れて目が合って
キスをして、
感じているのは私だけで
切なくなる
その夜、はじめて先輩の手が私の体に触れた
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作者名:彗星 | 作成日時:2020年5月22日 23時