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小森隼という人物は、コミュニケーション能力に長けている
それを身をもって実感したのは懐かしい中学の入学式だった。
小学校から少人数制のこじんまりとした個人経営の学習塾に通っていた私は、そこで隼と出会った
規模がそんなに大きくない故、
アットホームなこの場所は当時、人見知りだった私にも合っていたと思う
結局、小学6年生になってもクラスは5人ばかりしか増えなくて私達は中学生になった。
4つの小学校から集まった中学の入学式で隼の姿を見つけると、あっちも私に気づいたようで大きく腕をブンブンと振ってアピールしてくれた
隼は小学校の時から人気者だったようで、彼の周りにはすでに沢山の友達がいる
あのフレンドリーさと、近づきやすい柔らかな笑顔がそうさせるのだ
式が終わると各クラスごとに別れる為、クラス表が貼ってある廊下に向かっていると「追いついた」と聞き覚えのある彼の声と肩に触れた手
「あんなに振るから目立ってた」
「気づいてたんなら振り返してよー」
会ってそうそう文句を言う私もどうかと思うけど。
そんな私に彼はたくさんの友達を紹介してくれた
隼のおかげで友達の輪が広まったことに今でもすごく感謝してる
そういえば玲於くんと初めて会ったのもあの日だったな
隼の隣で眠そうにしてた
ごしごしと擦る左目の瞼のところに、小さなほくろがあることは仲良くなってから知って
白い肌とそこまでおっきくない身長
かわいいと言うと「うざ」と本気で怒ること
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いつの日か隼が小さく呟いた
「玲於には紹介しなきゃよかった」って一言
その真意を突き止めずに聞こえてないフリをした私はとてつもなく後悔をして、
隼と玲於くん
二人の仲を引き裂いたのも間違いなく私だった
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作者名:彗星 | 作成日時:2020年5月22日 23時