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人「岩ちゃんさぁ成人式ってことは愛知戻ったんでしょ?」
己「懐かしいなぁ、成人式」
岩『帰りましたよ、あと先々週も1回帰ってます』
人「えっそんなに頻繁に帰ってんの?」
岩『まぁ…あのー用があったんで』
人「うわ〜あやしっ」
“何がっすか”って笑って返したら“昔の女に会ってんだろ”って茶化された
己「あれ、図星?」
岩「…ちがいますよー。
税金の手続きとか色々あって、書類出さなきゃなんないじゃないですか」
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違う
Aは違う
昔の女とか、そんなんじゃない
人「えっ! 住民票こっちに移してないの!?色々不便じゃん」
岩「まぁ…、そうなんすけど…
いつかは戻る予定なんで」
人「えーーなんで!? あーでも跡継ぎとかそっち系?俺は兄ちゃん2人いるからその点何も考えなくていんだよねー。もし継ぐことになってもほら、実家所沢だから」
近いっすね、でも俺も兄いるんで
なんて話を膨らませるようなことはしない。
一人喋り続ける直人さんに内心助けられながらも、グラスの底にうっすらと残った酒に映る俺の顔が歪んでるそのものを表していた
「ほんと二十歳になったら良い事も悪いことも一斉にやってきますよね、税金払いたくねー!」
空笑いした俺に釣られることもせず、表情を変えなかった直己さんには
何処か見透かされてるような気がした
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作者名:彗星 | 作成日時:2020年5月22日 23時