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アイオライトという宝石は、見る角度によって色を変える、多色性の特徴を持っている。
一方は紫のような濃い青。
しかし左から見れば、灰色がかった色に変化する。
複数の色を持つ多色性は、いわば顔だ。
優しさも、強さも弱さも持っている、顔なのだ。
しかし他方で、アイオライトは強い劈開性を持っていた。
脆く、それはそれはあっけなく、割れてしまうのだ。
＊
「鬱先生のこと、どないするおつもりですか」
トントンは監視兵から受け取った、鬱の状態が書かれた報告書を読み上げると、グルッペンの方へ顔を向けた。
トントンのその問いの声色は、心配しているようには聞こえなかった。
だが冷めた声でもない。
純粋に、どう解決するのかを問う声色だった。
グルッペンは少しの間、無言だった。
トントンの方へ視線も顔も向けないで、書類をじっと眺めては彼の問いに答えようとしない。
その様子にトントンは苛立つことはなかったが、答えを聞かない限りこの話題を終らせないつもりのようだ。
トントンの視線に負けて、グルッペンは書類を静かに置く。
手を机に置いて、なおもこちらを見ずに口を開いた。
「……お前はどうするべきだと考えている？」
「今後、今日の件より大きな面倒を起こす様子なら、外出ももっと制限を付けるべきやろな」
「それではもう監 禁だな」
「恨まれてもかまわん。騒ぎを起こされる方が面倒や」
「期待はなしか？」
「もう5年は待った。治るどころか悪くなる一方で、俺は何を期待すればええんや」
「今の俺たちにとっては、5年など短いだろう」
そこで会話は一度途切れた。
一寸黙ってしまったトントンに、グルッペンは乾いた笑いを吐いた。
トントンは鬱を見放してしまいそうになってしまっている。
歳をとらず、死ぬことも出来なくなってしまったグルッペンたちにとって、5年という時間は短く感じるようになった。
しかし、たかが5年でも、信用はすぐに離れていく。
トントンは鬱を疎ましく思ってはいないものの、できれば関わりたくない、と思ってしまった。
この気持ちに、一番苦しんだのはトントン自身であるが、一度思ってしまった心情は簡単には消えないのだ。
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鯉口(プロフ) - あきらさん» コメントありがとうございます！最初の注意事項の項目を読んで察していただけると幸いです (2022年7月20日 0時) (
レス) @page1 id: ad6d0057cd (このIDを非表示/違反報告)
あきら - 宝石の国、、、、？あっいつも見てます頑張ってください (2022年7月19日 18時) (レス) id: 59a8197af5 (このIDを非表示/違反報告)
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