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「弓、やってみるか？」
黙ってしまったチーノを見かねて、ロボロが持っていた弓矢を差し出した。
向こうでは、今度はゾムが離れたところで鍛錬をしていたが、チーノが弓矢を持って立ち上がったところを視界に入れると、こちらにやってきた。
その顔は好奇心一杯の顔だった。
「もしこれで意外な才能が見つかったら、お前の弟子になるんちゃう？」
「そうやな。それはそれで、いじめがいがあってええわ」
「うわ、怖っ」
ロボロに持ち方を教えて貰いながら、チーノは緊張した面持ちで弓を構えた。
キリキリと音をたてて、弓を引き絞る動作に、琥珀色の腕に負担がかかった。
「いいか。ゆっくりでええから、深呼吸してしっかり立つんや」
ふるふる、と腕が震えている。
痛みは感じないが、振動から来る不安に、チーノは汗をかいているような気持ちになった。
「今や、射て」
「――！ ……あ」
「あ」
ロボロの声と共に、チーノは弦を離して矢を放ったが、そのときにビキッ、っという嫌な音が彼の耳に届いた。
その音は存外大きく、見守っていたロボロとゾムにも聞こえたようだった。
二人とも口を開けて動きを止めている。
放たれた矢は、すぐに勢いを無くして、的に当たらず地面に落ちてしまった。
そして、チーノに足下にも、何かが落ちて割れる音が響いた。
「……あーあ……」
チーノの足下には、彼の右腕が落ちていた。
二の腕からヒビが入って、そのまま割れてしまったらしい。
視線だけを落ちた腕に向けたチーノが、次はロボロに視線を向ける。
ロボロは一寸黙った後、腕を組んでうん、と一人で頷いた。
「弓は無理やな」
「そんなぁ〜！！ 俺の腕〜！！」
「ど、どんまいチーノ……。
ほ、ほら、次はナイフなんてどうや？
ほら、俺のみたいなちっさい刃の奴なら振れるんちゃう……！？」
どうやら、チーノの身体は弓の才能に恵まれなかったらしい。
彼は本日二回目の医療室に泣く泣く向かうのであった。
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人物紹介��
・ロボロ
ピンクコーラル(宝石珊瑚)硬度3.5〜4
ゾムと同じく、戦いたいが故に弓の技術を身につける。
元憲兵。特攻隊副隊長。鉱物ではないが、昔から宝物として重宝されてきた。
有機物なため酸に弱い(主成分は炭酸カルシウム)
汚れに弱いため、雨の日や泥は苦手。
手入れが大変なため本人も辟易していた。
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鯉口(プロフ) - あきらさん» コメントありがとうございます！最初の注意事項の項目を読んで察していただけると幸いです (2022年7月20日 0時) (
レス) @page1 id: ad6d0057cd (このIDを非表示/違反報告)
あきら - 宝石の国、、、、？あっいつも見てます頑張ってください (2022年7月19日 18時) (レス) id: 59a8197af5 (このIDを非表示/違反報告)
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