オネツ ページ10
「ほらーーえいちゃんこれ着て」
「ん?今出ていったのに」
「服を持ってきてあげました」
「ええ…きんのめんどくさいよお」
「いいから起き上がってくれるう?」
「やだあ」
「起きろや!」
布団をばりっと剥がされて、俺はぎゃっと悲鳴を上げた。寒い寒すぎる。縮こまってAの目を見るとAはやれやれって顔をしておれの肩に触れた。うわ冷たっ。やめてくれ。
「やっぱさむいんじゃん」
「さむいけれども」
「着なさい」
「着させてー」
俺がやっと起き上がって手を広げてみせるとAは、はぁ?って言いたそうな顔をする。あ、でもちゃんと着させてくれるのか。優しい。
「いいかげんにしないと怒るよ」
「でも着せてくれるんだね」
「優しいからね、私」
「そおだねえ」
俺のボタンをかけようとして苦戦してるAをにやにやしながら見ていたら、なによと眉をひそめられた。熱のせいかやけにいとしくてぎゅっと抱きしめたくなる、いや抱きしめた。なにいー!と暴れるA。
「Aっていいやつだよね」
「うん?しってるよ?」
「ひひ…」
「本当にえいちゃんどうしたの?なんか今日おかしいよ、熱があるから?ぼーっとするの?不安なの?」
つい緩んだ腕からさっと抜け出してAは心配そうに俺の額に手をやった。うっ、またこの気持ちだ。懐かしいような愛しいような気持ちが混ざったなんだか不思議な気持ち。どうしょうもなく目の前のAを抱きしめたい。もしくは夕飯を作ってもらいたい、そんなよくわからない気持ちだ。何だ、この気持ちをなんていうんだろう。
「あ、…俺いま…Aに…」
「わ、わたしになに?」
「俺さ、…Aに…」
「な、なになになに??おかしなこといわないでよ?」
「俺、今、Aに、母み…を感じている…」
「ははみ……?」
「あ"〜〜〜〜……ほっとすんなぁ〜〜……」
「なにもう〜!??」
あらためてぎゅっと抱きしめてやったら次は暴れたりしないで、Aは混乱しながらも笑って俺の背中をポンポン叩いてくれた。昔風邪を引いたときの記憶を思い出す。どうしょうもない不安感の中、母親がこうやって甲斐甲斐しく世話焼いてくれたなあ、なんて。
「ほんとは奥さんにしたいとも思ったんだけど」
「ん?きこえなかった」
「ないしょー。かぜ治ったらすこしだけ実家帰ろうかな」
「お土産持っていきなね?」
205人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「YouTuber」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
フェザー - 夢主とアバのみんなが喧嘩して4対1になって暴言を吐かれてからのあまあまな仲直りが見たいです! (2018年1月24日 21時) (レス) id: 874f7f8e04 (このIDを非表示/違反報告)
たちょらー(プロフ) - エイジさんか、ツリメさんでほのぼのしたにちじょうふうけいみたいなやつをお願いします! (2017年10月17日 1時) (レス) id: f9c589a444 (このIDを非表示/違反報告)
まりん(プロフ) - いつも楽しんで読んでいます!アバのうち誰かが風邪ひいて夢主ちゃんが看病、治ったと思ったら夢主ちゃんが風邪ひいちゃってアバのみんなから看病してもらう、みたいなのが読みたいです!!分かりづらいかもですがお願いします♪ (2017年10月15日 9時) (レス) id: f79d1c3388 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:出井です | 作成日時:2017年10月7日 15時