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城田さん、…もとい、凛花ちゃん。彼女の勢いに流されるままに、お互い名前で呼び合うようになって、連絡先を交換して、ようやく帰路につく。

昔みたいに接し方を失敗しちゃったら、と考えるとやっぱり怖かったけど、今まで会った誰にも当てはまらないタイプの子だから、もしかしたら上手くやっていけるかもしれない、と思えた。




「城田さん、どういう要件だったの?」

『あぁ、…』




樹くんのことで色々聞かれて、と言いかけて思い出す。これは秘密にしなきゃいけなかったんだった。




『……えっと、友達にならないかって』

「え、突然?」

『うん…』




秘密のところは伏せているけど、嘘はついてない。

でも、ずっと言いたかったことがつっかえているところに、さらに秘密まで乗っかってしまって、いよいよどう言い出せばいいのか分からなくなってしまった。




「……そっか、」

『…陽菜ちゃん?』

「ううん、女の子の友達出来てよかったね」




そこでなんとなく、陽菜ちゃんの様子がいつもと違うな、と思ったけど、言及することは出来なかった。




「A、これ好きそう」

『あっ、かわいい、好きなやつ』

「試着する?」

『うん、…あ、陽菜ちゃんこれは?』




黙っていても間が持つから、無理に話題を探す必要は無い。それぞれある程度自由に動きつつ、何か言いたいことが思いついたら会話を始めるだけ。

安くなっていたポーチをお揃いで買って、昔からやってることが全然変わらないね、って笑い合う。




『また来ようね』

「もちろん、…改まってどうしたの?」

『ううん、別に、なんとなく言いたかったの』




こうしているとやっぱり、陽菜ちゃんと過ごす時間が何よりも好きだな、と思う。




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作者名:春野菜 | 作成日時:2020年7月23日 20時

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