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「陽菜〜!こっちこっち!」
「あ、知り合いいた〜!」
「あはは、知り合いって!」
「おー!慎太郎じゃん!」
「うわ久しぶり、よろしく!」
案の定というか、なんというか。教室に着くと、人気者の2人はすぐに顔見知りに声をかけられて、会話の輪に入っていく。優しい2人はさり気なく私のことを気にしているようだったから、大丈夫だよの言葉の代わりに、さっさと自分の席に座って本を開く。
本を読んでいる時は没頭して時間も忘れてしまう、ということを2人はちゃんと知っているから、きっと放っておいても大丈夫だと思ってくれるはず。
新しい学校生活のために新しく買っておいた本。表紙を開く時はいつも、わくわくする。
「…それ、何読んでるの?」
『…、え』
椅子を引く音が聞こえたかと思うと、前から突然声をかけられて、驚いて咄嗟に言葉が出なかった。黒髪の、静かそうな男の子。私の手元をじっと見ているから、そこでようやく、本の話だと気がついた。
「その人の本、好きなの?」
『……あ、はい』
「俺も好き」
『…はぁ、』
これは男女問わず、知らない人に話しかけられるのは慣れていないどころか少し苦手だから、どうにも気の抜けた返事しか出来ない。
陽菜ちゃんとか、慎ちゃんとか、気づいて助けに来てくれないかな、なんて虫のいいことを考えながら、ふと目線を上げる。
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作者名:春野菜 | 作成日時:2020年7月23日 20時